提案をしても否定はしない

ビジネスの場において、どんな文脈でも相手を否定することはご法度である。それが社内の同僚でも上司でも、取引先でも顧客でも同じである。もちろん、プライベートな関係でも全く同じだ。人間は極めて感情に支配された動物であり、否定=付加価値の創造にはならず、待っている結果は常に対立である。表立って対立構造にならずとも、深層心理下で静かにエスカレーションするだろう。

この意見に対しては「では相手が間違っていても放置しろというのか?」と反論がありそうだが、否定をせず提案をすることが解だろう。Aというプランを提示されたら、「なるほどAで考えているのですね。ちなみに自分はBで考えています。自分がAではなくBと考える根拠は次のとおりです。…以上のアイデアを踏まえてAとBどちらが良さそうでしょうか」という具合だ。

相手はそれでもAである必然性を別方向から提示してくるかもしれないし、こちらが提示したBに変えるかもしれない。はたまた、No dealかもしれない。とにかく注意すべきは相手が持つ選択肢を強引に奪い取るべきではないということだ。他人と社会は変えることができない本質がある。否定ではなく、あくまで提案に留める品性を持つ必要がある。

自分は育児をしている立場上、子供からわがままを言われることがあるが頭ごなしに否定はしない。先日、実際に行った交渉は次のとおりである。「学校へ行く日は着替えではなくご飯から先に食べたいんだね。なるほど、よくわかった。ちなみにパパは着替えが先が良いと思うな。なぜかって先に制服を着た後に、ゆっくりご飯を食べた方が時間に焦らなくていいよね。じっくりご飯を味わう方がおいしいとおもうけどどう?」という具合に提案すると「たしかに」といって素直に受け入れてくれた。

結婚をして子供が生まれるとリアルの人間関係は大きく拡大する。お互いの実家、親戚、学校の保護者などだ。そんな時、人間関係の距離を間違えると余計な面倒を招き入れてしまう。自分は徹頭徹尾、ビジネスライクに振る舞ってきたが今のところ大きな問題もないし、相手に冷たいという印象を持たれてはないと信じている。

 

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