黒坂岳央です。

人間関係はヤマアラシのジレンマといわれる。近づこうとするとお互いのトゲが刺さって相手を傷つけてしまうので、ある程度の距離を保つことがお互いにとって最も心地よいという話だ。

自分はこの話はすべての人間関係について採用されるべきだと思っている。つまり、お互いに踏み込みすぎず、かといって離れすぎない適切な距離を持つということだ。だがネット上には距離感の取り方に困ってしまうような人もいる。そうした人に届けば嬉しい。

個人的には「ビジネスライク」な関係が最大公約数的な人間関係の結論だと思っている。ビジネスライクと聞くと「冷たい」「効率重視」という無機質なイメージがあるが、実はそうではない。不快感を生み出さないことを第一義的に考慮した距離なのだ。具体的にどんな距離感かを考察したい。

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感情論よりWin-Win or No deal

少し話をして仲良くなるといきなり図々しい要求を出して来る人がいる。よくあるのが「友達だろ?無料で仕事してよ」みたいな話で、理容師に無料でカットしてもらったりカラー染めをお願いするとか、英語が得意な人に海外の航空券の予約を代行したりといったものである。

自分はウェットな人間関係こそが軋轢を生み出すと思っている。だからどれだけ仲良くなっても、お互いの関係性はWin-Win もしくは No dealがベストだと思っている。

Win-WInとは言わずもがなお互いにメリットがある関係性だ。友達同士でも仕事をお願いするならきっちりお金を払うか、別のことで埋め合わせをする、たとえば理容師の友達にカットして貰う代わりに、自分の経営する飲食店で代わりにごちそうするみたいなイメージだ。片方だけ得をし続ける関係性は長続きしない。もしもWIn-WInの関係構築が難しいと感じたらその時点で取引はやめる、つまりNo dealを選択するのである。

もっと身近な例で言えば会話である。相手の話もちゃんと聞くし、自分もちゃんと話を聞いてもらう。仮に話が一方的な状況が続いたらWin-Winへと相互傾聴レベルを再構築するか、No dealで終わりにしてしまうのだ。

パーソナルスペースに踏み込まない

すごく気があってお互いに楽しんでいれば問題ないが、初対面などでお互いのパーソナルスペースにはやたらと足を踏み入れない方が賢明である。

職場の人間関係において上司と部下の関係性で「休日どこへ誰と出かけて、趣味は何で~」みたいに知りすぎることは必ずしもポジティブではないと思っている。自分自身、会社員の時期に上司に有給申請を出したら「君は4月の有給の時も遊びにいっていたでしょう。今度はどこへいくの?業務の勉強もした方がいいのでは?」みたいになってしまい、まるで監視されているような感覚を覚えた。

だから自分からあまり相手のことを深く聞きすぎない、相手から聞かれても答えすぎないがいい。深い話が出てしまうと、相手の人となりとか人生観まで伝わりすぎてしまい、「その生き方、時間の使い方は良くないんじゃないか」みたいにどうしてもパーソナルスペース侵害が起こり得る。踏み込み過ぎは不快感を生み出す。

情報は必要以上に知りすぎない方がお互いに良いだろう。