かつて橋本内閣の時代、参院選において減税についての政府の説明が揺らぎ、国民の不信を招いて大敗を喫したことがありました。国民に対して、ストーリー性のあるわかりやすい説明が必要です。国民はその場しのぎの解決などは求めていないのであり、我々は国民に正面から向き合い、説得する姿勢を持たねばなりません。

maroke/iStock
パレスチナ情勢が全く予断を許さない状況となっています。ラビン首相を暗殺して1993年のオスロ合意を無意味にしてしまったのは主にイスラエルの過激な勢力でしたが、今もその危険性がなくなったわけではありません。
現ネタニヤフ政権には極右勢力も含まれており、司法に対する立法府の優先を認めるなど、かなりの危うさを感じます。イスラエル国内の政権基盤も弱体化しており、今回のハマスのイスラエルに対する攻撃は、この状況を見てのことなのかと思わされます。
ネタニヤフ政権としては、ガザ地区に対する全面攻撃によってハマスを殲滅しない限り政権の維持が困難になるとの判断がありえますが、イスラエルの非を世界に知らしめることこそがハマスの本当の狙いだったのかもしれません。
イスラエルのガザ地区に対する空爆は、自衛的な行為であるとされていますが、もしこれを国連憲章第51条に定められた個別的自衛権の行使とするなら国連安保理に対する報告が必要で、今回いまだに報告はなされていません。ハマスの行為はイスラエルにとっての9.11だ、というのもかなり皮相的であるように思われます。「天井なき牢獄」とも言われるガザ地区の封鎖も国際法的にかなり問題ですし、1948年の国連決議第194号で認められたパレスチナ人の「帰還権」についても、きちんとした整理が必要です。
ユダヤのシオニズムとパレスチナの論理には「落としどころ」を見つけるのは困難ですが、イスラエルが1947年に国連によって建国された国である以上、この解決は国連の場でなされなくてはなりません。安保理の非常任理事国である日本国の果たすべき役割にも、大きなものがあるはずです。
中国の李克強前首相が、突然の心臓の病で68歳で死去したことには、かなり異様な感じがしてなりません。7月には外相、先日は国防相が解任されていますが、中国共産党の内部で権力闘争が激化し、構造的な変化が起こりつつあるのではないでしょうか。ウクライナ、中東、北東アジアで起こっていることを俯瞰して、我が国が採るべき道について政府・与党内で徹底した議論が必要です。
厚生大臣や自民党税調会長などを歴任された津島雄二先生が老衰のため逝去されました。極めて明晰な頭脳を持たれ、闊達で洒脱なお人柄がとても好きでした。出来れば自民党の政務調査会長や衆議院議長を務めて頂きたかったと思っております。御霊の安らかならんことを切に祈ります。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年10月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?