高額所得者増加は喜ぶべきか?

データ上、高額所得者が増えている。普通は稼ぐ人の数が増えることは喜ばしいはずだ。だが、その実態を見るほど、手放しで喜んで良いかわからなくなってくる。

国民全体の所得が向上して緩やかなインフレが起きる、これが一つの理想形とする声もあるが、実際には所得格差によるものだ。つまり、能力や環境に恵まれた強者がより多く稼ぎ、そうでない者が非正規雇用で長時間労働でなんとか食いつないでいるという状況である。内閣府発表のミニ白書によると、特に若年層において所得格差の拡大が深刻となっている実態が明らかになっている。

知識、スキルを主体的に獲得していかなければ、格差の「ネガティブ側」に甘んじることになる。いつの時代でも「芸(ビジネススキル)は身を助ける」という本質は変わらない。

どの場所で稼ぐか?も重要

年収1000万という所得を「どの場所で稼ぐか?」は極めて重要になってくる。

たとえば子持ちで東京都内に住むとなれば、世間が考えるほど贅沢な暮らしはできない。全国宅地建物取引業協会連合会の発表(2023年4月)によると、子供一人の3人家族が2LDKの賃貸物件で生活する場合の平均は23区内で約18.9万円、生活費は約36万円以上だ。一馬力家庭であれば、手取りは年間約750万円、月62万ほどなので娯楽費や教育費を加えて贅沢をすれば即パンクする。

翻って地方に身を置けば状況はまったく異なる。家賃は圧倒的に下がるので生活費は20万円以下に抑えることは可能であり、実家ぐらしならさらに安い。同じ年収1000万でもこちらは非常に余裕のある暮らしを送ることができるだろう。最も、地方在住で高額所得者になろうとするなら、医師かリモートワークか事業経営者、投資家など職業はかなり狭まってしまうのだが。

年収1000万超の高額所得者は増加したが、住んでいる場所や家族構成によっても数字の捉え方は随分変わってくる。

 

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