30代ニートでもいきなり大手企業に就職も?

 宅建士は幅広い業界での需要があるとのことだが、今回話題となった投稿のように、30代でめぼしい職歴がなくても大手企業に就職することは可能なのだろうか。

「コミュニケーション能力がある程度備わっていることが前提ですが、職歴がなくても宅建士の資格を取るだけで就職がスムーズにいくケースは多いでしょう。先ほど申し上げたとおり宅地や建物に関わる業務を行う場合、5名に1名は宅建士を置かなければいけないので、大企業ほどその分頭数が必要になってきます。そのため採用選考時には職歴や実績よりも、まず先に資格を持っていることが高く評価されるのです。

 ですから、今まで非正規雇用の職で働いていた人が、宅建士の資格を取ったことで、大企業の正社員として就職できたというケースも少なくありません。また就職の際に有利なだけでなく、社内での昇進や昇給にもつながるでしょう。会社によってさまざまですが、資格手当というものがあって、高いところでは月に5万円支給される企業もありますので、年間60万円の収入増も見込めるのです」(同)

 宅建士の資格がいかに就活時に有利かはわかったが、問題は合格難易度だ。

「近年の合格率は15%から17%で推移しており、6人に1人ぐらいの割合しか合格できない難関資格です。宅建士資格取得を目指している人のうち、資格試験予備校に通う人と独学で勉強する人は半々ぐらいで、予備校に通っている人でも合格率は30%程度となっています。このように合格率は決して高くはないですが、ただ司法書士や社労士といった資格の合格率は3%から5%ともっと低いので、それらと比べれば合格できる可能性は高いとも考えられます」(同)

 試験合格のために心がけておくことは何かあるだろうか。

「試験の出題傾向は毎年大きく変わらないので、出題されるポイントを押さえて効率よく勉強することが合格に早く近づく方法です。50問のマークシート形式の試験ですが、過去の合格ラインはだいたい35点から37点。ですから満点を狙って細かい知識まで網羅するような勉強法ではなく、過去問などで7割の正答率を毎回維持できるように、試験に慣れていく勉強法がよいのではないでしょうか」(同)