音楽ライブとお笑いライブも開催の背景
そして今回のジャパンモビリティショーについても自工会は来場者数100万人の目標を掲げる。海外自動車メーカーの出展はメルセデス・ベンツ、BMWと中国のBYDと、依然として少数だ。そこで来場者数の確保に必死の自工会が打ち出したのが、有名アーティストによる音楽ライブと芸人のお笑いライブだ。もはや「モビリティとはまったく関係がない」(自動車メーカー関係者)イベントとなる。さすがに恥ずかしかったのか、会場には水素車両を配置し、水素エネルギー由来のエネルギーでライブを運営する。
ライブ観戦には、ジャパンモビリティショーのチケットが必要な上に、2000~4000円の別料金が必要となる。しかも、ライブの別料金を抑えるためなのか、前回2000円だった当日券を今回は3000円と1.5倍に値上げした。モビリティに興味がないライブ目当ての来場者を取り込もうとする意図がみえる。
ショーの内容についても、たとえばメインイベントの一つで「モビリティ版ダボス会議」と位置付ける「ジャパンフューチャーセッション」も「蓋を開けてみたら、そのショボさに驚いた」との声が相次いでいる。ダボス会議は世界経済フォーラムが毎年1月にスイスのダボスで開催する会議で、国家元首や世界的な企業のトップなどが一堂に集まる。ところが“モビリティ版ダボス会議”は、自工会メンバーの自動車メーカートップが参加するが、ほとんどが無名の日本人ばかり。「ダボス会議の名称は引っ込めればよかったのに」との後悔の声も関係者からは聞かれる。
モーターショーは世界的に退潮しており、名称を含めて内容を見直す動きも相次いでいる。ただ、自工会とトヨタの豊田会長の面目を保つためだけの目的で、なりふり構わないやり方で来場者を集めたところで、日本の自動車産業が発展するわけではない。
(文=桜井遼/ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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