井上詩音(ヴァンフォーレ甲府)

昨2022シーズンはリーグ戦こそ18位と惨敗したが、天皇杯を制しクラブ史上初めて国内3大タイトルの1つを手にしたヴァンフォーレ甲府。自信を胸に挑んでいる今2023シーズンはここまで7位と、自動昇格圏入りの可能性は潰えたが、プレーオフ圏入りまではあと一歩というところで最終盤を迎えている。

そんな甲府において、専修大学を卒業したばかりのDF井上詩音はルーキーながら安定感のある働きを見せている。比較的年齢の近い選手も含めたポジション争いの中、ここまでは27試合にスタメン出場。J1復帰を目指すチームで守備の一角を担っている。身体能力が極めて高く、空中戦や1対1の場面では抜群の強さを見せる。リーグ戦だけでなく、ACL(チャンピオンズリーグ)でも出番を得て成長著しい井上。残り3節、6年ぶりのJ1復帰を目指す甲府にとって欠かせない守備の要であることは間違いない。


DF髙田椋汰(日章学園高等学校在学時)写真:Getty Images

髙田椋汰(ブラウブリッツ秋田)

今2023シーズン序盤、6戦負けしと快調な滑り出しを見せたブラウブリッツ秋田。ダークホースとしての躍進も期待されたがその後は勝ちきれない試合も多く、最終盤に来て13位と直近2年と同じような順位でフィニッシュする可能性が高くなってきた。そんな中、シーズンを通して大きな収穫と言える要素の1つが、大卒ルーキーDF髙田椋汰(阪南大卒)の成長ではないだろうか。

昨2022年もチームに属してはいたが、特別指定選手ということもあり出場はわずかに2試合のみだった。しかし、今季は開幕からスタメンフル出場を続け、今や出場時間はフィールドプレーヤーでチームトップ。紛うことなき主力選手としてチームを支えてきた。セットプレーキッカーも任されるほど精度の高いキックに、突破力、ロングスローとサイドの選手として持っていてほしい能力をいくつも兼ね備えている。さらに、対人ディフェンスの強さを武器に守備でも躍動。このまま秋田に残るのであれば、2年目の来季は若手としてではなく、チームの核として見られることになるだろう。


大宮アルディージャ MF高柳郁弥 写真:Getty Images

高柳郁弥(大宮アルディージャ)

昨季に続いて残留争いに巻き込まれている2023シーズンの大宮アルディージャ。第9節のザスパクサツ群馬戦から第23節の町田戦まで15戦未勝利と、一時期はJ3降格の最有力候補と目されたほどだったが、この最終盤に来て4連勝。残り3戦は上位との対戦になるが、残留に向けて光が見えつつある。そんな苦難のシーズンを送ってきた大宮を支えるのが東洋大学卒業のルーキーMF高柳郁弥だ。

もともとは大宮の下部組織育ちであり、特別指定を経て大宮へ正式加入。ここまで33試合と多くの出場機会を得てチームの中軸を務めてきた。加えて、ここまで4アシストはチームトップの数字。視野の広さと正確なパスを供給できる技術の高さを見せ、セットプレーでもキック精度を存分に生かして存在感を発揮している。直近の連勝により、達成すればのちに「奇跡」と呼ばれるような残留劇が現実味を帯びてきた。とはいえ、残り3戦の相手はいずれも自動昇格圏あるいはプレーオフ圏争いの渦中にいる難敵ばかり。J3降格を回避し来季に向けて希望を見出すためにも、新星高柳のチャンスメイクは必要不可欠と言えよう。