消費が強いという勘違いの中、企業破綻が起き、それが連鎖反応を起こす、というのが奈落の底に向かう第一歩であります。今回、アメリカがその道を再び辿るのか、それはまだわかりませんが、企業業績は相当悪化すると悲観論に立っています。特に自動車関連が長期のスト、そして妥結したフォードや交渉中のGMの内容を見ると「これで経営できるのか」「世界と戦う価格戦略は?」「強気のEV戦略は大幅後退したのか?」と思わせる内容です。
7-9月期の決算発表の真っただ中ですが、現状、浮足立つ決算は全く上がってきていません。よかったとされるマイクロソフトの株価も翌日にはほぼ振出しに戻し、メタは好決算にもかかわらず、大きく売れました。先ほど発表のアマゾンはグーグルと同様、クラウド部門が未達となりました。大手IT決算がもやもやを払しょくできていないため、投資家の腰は引けている状態が続いています。
この理由がアメリカの金融政策の不安感と片づけるにはちょっと無理がある、そんな気がするのです。私は10月には「魔物が住む」と申しあげ、先週の「つぶやき」では「来週が試金石」と述べました。その試金石である今週はアメリカ市場は引き続き、ぬかるみにはまったような株価形成、日本は乱高下しながらも着実に下落トレンドに入っています。チャートからはナスダックが下値抵抗線を切っており、ダウとS&Pがこれに続くものと思われます。日経平均は30500円あたりが下値抵抗線ですが、これを下回割る可能性はあり、3万円割れも十分あり得るとみています。
「景気が悪けりゃ戦争しよう」というあまり芳しくない話があります。まさかとは思いますが、イスラエルとそれを擁護するアメリカの話はタイミング的にあまりにもうまく出来すぎています。また、アメリカのGDPや消費動向は「悪くなりつつあるのに止められない消費癖」のように見えます。その点と私の過去の経験を照らし合わせてみると「何が飛び出してもおかしくない」状態に見えます。
今週はEUとカナダが利上げ停止をしました。カナダについては金利はピーク打ちと見られています。来週、日銀とアメリカが金融政策を発表します。日銀はYCCの変更が焦点、アメリカはパウエル氏の口先介入が継続するのか、あるいはそのトーンが変わるのかが着目点です。個人的にはそれでも金融政策の日程は通過点でしかなく、世界の投資家は何か別のものに怯えている、そんな感じが見えます。それが何なのか、まだ見えません。故に魔物なのかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月27日の記事より転載させていただきました。
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