ケンタッキーフライドチキン(KFC)は25日から「ファン感謝祭パック」を販売。「オリジナルチキン」と「カーネルクリスピー」のセットで最大1040円の値下げとなっているが、値下げ前の単品で積み上げた際の価格の高さが注目される事態に。KFCは同日から「オリジナルチキン」を20円値上げして310円に、「チキンフィレバーガー」を50円値上げして440円とするなど商品の一斉値上げを行っており、ネット上では「空前絶後の値上げ」などと話題を呼んでいる。KFC商品の値上げ後価格は、クオリティーに見合うものといえるか。またここ最近のKFCの価格戦略・商品戦略をどうみるか。専門家の見解を交え追ってみたい。

 全国に1172店舗(2022年3月31日現在)を展開し、フライドチキン専門店チェーンとしては圧倒的な強さを誇るKFC。同市場は意外にもプレイヤーが少ない。21年にはロイヤルグループがバターミルクフライドチキン専門店『Lucky Rocky Chicken(ラッキーロッキーチキン)』をオープンし、一時は5店舗を展開していたが、すでに東京の吉祥寺店と新小岩店が閉店し、伸び悩んでいる模様。中国で2万5000店舗以上を展開する「正新鶏排(ジェンシンジーパイ)」が東京・高田馬場に今年5月に日本1号店をオープンさせたが、今後の展開は未知数であり、KFCの業界トップのポジションは当面、揺るぎそうにない。

 多くの固定客を惹きつける要因となっているのが、秘伝のレシピだ。創業者カーネル・サンダースが1940年につくり上げたというレシピは、11種類のハーブとスパイスを配合したもので、一般的な製法であるフライヤー調理とは異なり、圧力鍋で最高温度185℃で約15分かけて揚げるというもの。店舗内で1本1本、手づくりでつくられ、HP上では品質へのこだわりの強さについて次のように説明されている。

「ハーブとスパイスの配合を知っているのは、世界でたったの3人。スパイスは複数の工場で数種類ずつ配合され、店舗に向けて出荷されます。各店舗でそれらをブレンドして初めて、11種類のハーブ&スパイスが完成」

<ファミチキでいい>

 外食業界全体で原材料価格やエネルギーコストの上昇を受け値上げが続くなか、KFCも昨年以降、複数回にわたり価格改定を実施。2022年7月には「オリジナルチキン」を250円から260円へ、「カーネルクリスピー」を230円から240円へ値上げ。今年3月には「オリジナルチキン」を260円から290円へ、「トクトクパック4ピース」を1390円から1490円へ、「ポテトS」を240円から270円へ値上げ。今回の値上げによって、約1年4カ月の間で3度値上げしたことになり、その間に主力の「オリジナルチキン」は60円値上がりした。

 そして今回、KFCが期間限定で発売した「ファン感謝祭パック」は次のような内容となっている。

・「ファン感謝祭パックA」990円(積上げ価格1510円)
  オリジナルチキン3ピース、カーネルクリスピー2ピース

・「ファン感謝祭パックB」1590円(積上げ価格2420円)
  オリジナルチキン5ピース、カーネルクリスピー3ピース

・「ファン感謝祭パックC」1980円(積上げ価格3020円)
  オリジナルチキン6ピース、カーネルクリスピー4ピース

 たとえば「Aパック」は520円もの大幅値下げとなっているものの、仮に同キャンペーン終了後に同じメニュー内容となるように「オリジナルチキン」を3ピース、「カーネルクリスピー」を2ピース注文すると1510円に上ることから、ネット上では以下のような声が続出している。

<ファミチキでいい>

<ハンバーガー食べたほうがいい>

<クリスピーは小さすぎる 半額でも高いレベル>

<カーネルクリスピーが死ぬほどショボいのにあれで300円くらい取るよな すげえわ>