クーポンを使ってのトッピングが標準仕様に

 ライバルの富士そばの価格を見ると、「かけ」「もり」は390円でゆで太郎より40円安く、かき揚げがのった「天ぷらそば」は540円でゆで太郎の「野菜かきあげそば」より10円安い。しかし、ゆで太郎で「かきあげ無料券」を使えば、「かけ」の430円で「野菜かきあげそば」と同等のものが食べられる。また、富士そばでは「コロッケそば」が540円だが、ゆで太郎で「コロッケ無料券」を使用すれば同じく430円で食べられる。

 富士そばは基本的に全店共通の無料クーポン券などがなく、クーポン利用が前提なら確かにゆで太郎はかなりお得に思えてくる。ゆで太郎の無料クーポン券について、フードアナリストの重盛高雄氏はこのように語る。

「クーポン券の配布期間が短いため、偶然というよりは狙っての来店がクーポンGETのポイントと想定されます。それゆえ、各店舗のファンが配布期間に合わせて来店するのでしょう。クーポンは有効期間が3カ月と他社のクーポンと比較して長く設定され、来店の動機付けに役立っていると感じます。セットメニューのそばは『かけそば』が基本のため、クーポンを使ってのトッピングがクーポン利用の標準仕様となりそうです」(重盛氏)

価格妥当性は感じられず

 無料クーポン券は来店の動機になるほどお得度があるようだが、飲食店のコストパフォーマンスは「味」も大きな要素となる。重盛氏に「忖度なし」の実食レビューをしてもらった。

「忙しいランチタイムの訪問だったためか、そばは他にない味わいを醸し出しているとまでは言えず、一般的な立ち食いそば並みのパフォーマンス。王道の『ミニかつ丼セット』(830円)を注文してみましたが、正直なところ価格妥当性は感じられません。そばは挽きたて・打ちたて・茹でたてを売りにするほどの味わいはなく、かつ丼も価格以上の感動はありませんでしたし、あまり食べ応えも感じませんでした。富士そばでかつ丼を食べた時も『カツを卵でとじさえすればよい』という雑な印象を受けたのですが、ゆで太郎も変わりない味わいでした」(同)

 プロの目から見て、ゆで太郎は業界でどのような位置づけに映るのだろうか。

「ゆで太郎もライバルの富士そばも手軽に食べられる立ち食いそばの大手チェーンという部分は共通していますが、ゆで太郎が『町のそば専門店』を標ぼうするのであれば、おのずからこだわるべき部分は異なってくるのではないでしょうか。フランチャイズ本部の思惑よりも、客がどのように同チェーンを意識しているかに思いを寄せるべきで、『安い』よりも『満足』を重視した商品戦略が求められるのではないかと思います」(同)

 プロの視点からだと課題点もあるようだが、1枚で総額900円以上という破格の無料クーポン券のお得度が高いことは間違いなく、利用者はぜひ活用すべきだろう。

(文=佐藤勇馬、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

提供元・Business Journal

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