「自分を制御できない」そんな文言を口紅で壁に書きなぐりながら、殺人を犯したリップスティックキラー。犯人は当時17歳のウィリアム・ハイレンスだとされたが、非人道的な尋問で無理な自白をさせられたと見る向きもある。ハイレンス85歳で獄中で亡くなるまで無実を訴え続けた。果たして彼は本当にリップスティックキラーだったのか。

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※ こちらの記事は2022年8月11日の記事を再掲しています。

「自分を制御できない」殺人鬼リップスティック・キラーの正体と残された謎…
(画像=画像は、「YouTube」より、『TOCANA』より引用)

1945年12月11日、米イリノイ州シカゴにあるアパートで、フランシス・ブラウン(当時32)が殺害された。彼女の首にはナイフが突き刺さり、頭部には銃創があった。また、頭部はタオルでくるまれていた。

警察は、強盗の痕跡や犯人の手がかりを発見できなかった。しかし、ブラウンの所有していた赤い口紅を使って、リビングルームの壁に奇妙なメッセージが走り書きされていた。

「お願いだから、これ以上殺す前に私を捕まえてくれ。私は自分自身をコントロールできない」

マスコミによって事件はセンセーショナルに報じられ、正体不明に殺人犯は「リップスティック・キラー」と名付けられた。

「自分を制御できない」殺人鬼リップスティック・キラーの正体と残された謎…
(画像=画像は、「YouTube」より、『TOCANA』より引用)

シカゴでは同年6月5日、ジョセフィン・ロス(当時43)が自宅で殺害される事件も発生。彼女の首には複数の刺し傷があり、頭にはスカートが巻かれ、傷口はテープで塞がれていた。

警察はロスの婚約者と数人の元ボーイフレンドに事情聴取を行ったが、全員にアリバイがあった。そのため、ロスは侵入者によって殺されたと結論付けられた。一方で、何も盗まれたものはなく、ロスの手には数本の黒髪が握られていただけだった。不審者の情報も得られぬまま未解決の状態が続いていた。

翌年1月7日、ジェームズ・デグナンの娘スザンヌ(当時6)が自宅の寝室からいなくなる事件が発生。現場に駆け付けた警察がすぐにシカゴの捜索を開始し、窓の外に梯子と身代金メモを発見した。

「2万ドル(約266万円)を準備して、私の指示を待て。FBIや警察には通報するな。身代金は5ドル紙幣と10ドル紙幣にしろ。彼女の安全のためにこれを燃やせ」

この身代金メモは目くらましにすぎないことが判明した。というのも、スザンヌの行方不明が通報されてから12時間後、彼女の遺体が発見されたからである。午後7時ごろ、スザンヌの切断された頭がデグナン宅の近くの下水道に浮いているのが見つかり、後に彼女の足と胴体も近くの下水道から回収された。