なんで政治のニュースは政局ばかりなの?

―――政治のニュースを見ているときに思うんですが、政局(政治の動向や政界の情勢)の話が多いですよね。

理由は明確です。先ほども話しましたが、要するに、政策の議論で法案が変わらないんですよね。

反対する人たちがいるから、柔軟に「こういう風に修正しましょう、変えましょう」となるかというと、日本の国会ではそうはならないんです。政府・与党は、官僚か自分たちが作った法案をそのまま通すのが「当たり前、正義」になっちゃっています。対する野党としても、「阻止するか否か」という話になっちゃうので、ほとんど0か100かの話なんですよ。

これが日本政治の現実で、政策議論に注目が集まりません。私はこういった現状が、日本の政治に関心が持たれにくい原因の根本だと思っています。政策が国会の議論で柔軟に変わらないので、政策を議論しても仕方ないという事態に陥ってしまう。

日本政治の大きな課題だと思いますね。

政治が変わるには?

―――その状況を変えるためにどうしたらよいのか考えはありますか?

これはほぼ不可能なんですけども(笑)。政治制度改革が必要ですよね。

簡単にいえば、与党が柔軟になればよいだけの話なんです。その法案を通そうとするときに、党内でも党外であったとしても反対意見があるならば、しっかりと聞いて柔軟に法案を変えるか、通すことをやめるといったことが、もっと柔軟に行われるようになれば政策議論が注目されると思いますが、そういうふうにはなっていません。もう体質なんでしょうね。

政府の閣議決定が絶対だ、という点から変えなきゃいけないはずですが、そのためには、与党である自民党がもう少し人の意見に耳をかたむけてくれれば……って、そんな抽象的な話になっちゃうんですよね。

―――国民の反対運動やデモで修正されることは考えにくいんでしょうか。

(2023年6月に成立した)入管法改正案は、国民民主党と日本維新の会が協議して、(法案が)修正されました。反対する人たちがとても多かったことも一助になったのでしょう。反対した人たちは、修正ではなく法案自体を通したくない気持ちが大きかったと思っていますが。

だから、デモなど抗議活動に意味がない訳では決してありません。そういった運動がニュースに取り上げられると、政治家は世論に敏感なので、気にはして折衷案を練ろうとするんです。

よっぽど多くの人数が反対や修正を求めるようなことをして自民党(与党)がめちゃめちゃ追い詰められないと、そこまでの修正には至らない。もっと柔軟にこういったことがたくさん起きればいいですよね。

次回は、“個人がよりよい政治が行われるために何ができるのか”をテーマに、お話を聞いていきます。