毎日新聞社で首相官邸や立憲民主党、外務省などの政治取材に携わり、現在はフリーランスの政治ジャーナリストとして活動する宮原健太さん(31)。
現在は、文春オンラインやプレジデントオンラインなど雑誌やウェブメディアで政治動向を伝える記事を執筆しているほか、“記者Vtuber”ブンヤ新太としても活動しています。
長年、永田町を取材してきた宮原さんに、複数回にわたって若手ビジネスパーソンに役立つ“政治のハナシ”を語ってもらいました。
今回は、“政治のニュースは、どう見たらよいのか”についてです。
前回のインタビュー記事はこちらから:「ビジネスにおいて政治を知ることが大事なワケ 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた」
政治の流れって?
―――ざっくりと聞いちゃうんですが、政治のニュースはどう見たらいいんですか?
なんだかんだいっても、政治の流れは決まっています。その流れを押さえず、「今がどういう時期なのか」をちゃんと把握していないと、ニュースを見ていてもトンチンカンになっちゃうんですよね。
先ほども話した通り(前回参照)、予算の関係ならば、8月が概算要求、12月末までに予算案を取りまとめて、1月から3月にかけて議論するという流れがあります。国会でいうと、1月に通常国会が開かれ、3月末までに予算の議論がされて、そのあとに各法案の議論がなされます。
たいていの法案は通過するんだけれども、増税法案などときには揉めるようなものも出てきたりして、(与党と野党で)大きな「喧嘩」になることもあるんですよね。
その「喧嘩」の見方も分かっていると面白いです。例えば、与党は法案を通す動き、野党は法案の通過を阻止する動きしか基本的にはできません。
本当は国会で、その法案に駄目なところがあるのなら、意見交換をしながらどんどん直していけばよい。「そのために議論しているんじゃないか」と思う人が多いはずですが、法案が修正されることは残念ながら日本の国会ではほとんどありません。
これは、官僚が上げた雛形をそのまま通すことが慣例化されているという悪習があるからです。「問題だ!」とトップニュースで取りざたされるような法案じゃないと、「通すか阻止するか」というようなゲームになってしまっています。
野党は、その法案の審議をする委員会の委員長解任決議や法案を担当する大臣の不信任決議を出して、採決を阻止しようとしています。日程を遅らせることで、法案を通したい側を困らせようということですね。
通常国会だけではおさまらない課題が出てきたときのために、臨時国会があります。不景気になり、最初に決めた予算案では対応できず、新たな経済政策を打つ必要があると判断された場合とかですね。
法案や補正予算案を通さないと、新しい経済政策は執行できません。日本は予算案を通さないと、(国の)お金は使えないという“財政民主主義”をとっていることも一応頭に入れておくと理解しやすいです。