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- 平均給与の推移
前回は各国の平均給与について名目と実質の違いを確認してみました。
名目でも実質でも停滞しているのは、日本特有の傾向のようです。
今回は、OECDで公表されている平均給与の水準について、国際比較してみたいと思います。
OECDで公開されている平均給与は、自国通貨ベースの名目・実質と、2022年購買力平価換算による実質です。
パートタイム労働者がフルタイム働いたと見なした調整の入っている平均給与となります。
今回はまず実質の水準から確認してみましょう。
図1 平均給与 実質 購買力平価換算(2022年)OECD統計データ より
図1が平均給与の実質 購買力平価換算のグラフです。
このグラフは何を意味しているかというと、各国の自国通貨ベースの実質値(2022年基準)を、2022年の購買力平価でドル換算したグラフという事になります。
基準年である2022年で、実質値=名目値となりますね。
各年の購買力平価ではなく、どの年も2022年の購買力平価で統一してドル換算している事になります。
OECDで公表している実質の平均給与はこの指標のみとなります。
日本やイタリアはずっと横ばいが続いていて、近年韓国に抜かれているという事はわかります。
過去の数値については、あまり順位の高低に意味はありません。
実質は成長率で比較すべきと思いますが、成長率は基準となる年の水準が異なりますので、比較の際には注意が必要ですね。
水準を比較するのならばやはり名目でのドル換算値が現実的だと思います。
- 平均給与の為替レート換算
続いて、各国通貨ベースの名目値を為替レート換算した水準を見てみましょう。
図2 平均給与 名目 為替レート換算OECD統計データ より
図2が為替レート換算した平均給与の推移です。
各年で国際的な平均給与の水準を比較できます。ただし、為替レートは変動しますので、その変動を受けてアップダウンします。
日本は1990年代にはアメリカを抜いて高い水準に達しますが、その後横ばいが続くうちにアメリカをはじめ他の主要先進国に抜かれています。
2021年→2022年では各国とも自国通貨安となったため、数値が下がっていますが、特に日本の下がり方が大きいですね。
韓国を下回り、イタリアとほぼ同水準となっています。
為替レートで換算して数値が下がっているという事は、そのお給料で買える国際的な品物の量が減っている事になるはずです。
図3 平均給与 名目 為替レート換算 2022年OECD統計データ より
図3が平均給与 名目 為替レート換算の2022年の国際比較です。
日本は34,393ドルで、平均値45,000ドルを大きく下回ります。35か国中21位、G7中6位、韓国を下回るような状況ですね。
日本はパートタイム労働者が多いから平均給与が低いといった話も聞きますが、この指標は以前確認した通り、パートタイム労働者もフルタイム労働者と同じくらい働いたと見なした水準を比較したものになります。
残念ながら日本の平均給与は先進国の中でも低い方という事になります。