一番所 那智山「青岸渡寺」
西国三十三か所巡礼の一番所は、和歌山県那智勝浦町の「那智山・青岸渡寺(せいがんとじ)」。じつは「熊野那智大社」と隣り合わせに建っており、熊野信仰の一大修験道場となっていたとのこと。実際に行ってみると「お寺なのに鳥居」「狛犬と仁王像が背中合わせ」という当時の神仏習合の名残に触れることができる深い歴史と文化が残る広大な霊場です。
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各霊場を巡るにあたり知っておきたい事・・・それは山門の「長ーい階段」。札所の多くは山に建立されているため、お参りには少々の体力が求められます。とはいえ、バイクに乗るライダーであれば、それほど心配しなくていいでしょう。また、幸いにも霊場のほとんどが観光名所ということなので、栄養補給の心配ご無用。お参りのまえの腹ごしらえもお忘れなく。
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この土地は「那智黒」という黒飴と、和歌山県原産の柑橘類「じゃばら」が有名という事で、ご当地アイス「黒飴・じゃばらミックスソフト」を頂くことに。バイクに乗って糖分が欲しくなった身体を満たす十分な甘みにより、後に控える「山門の長い階段」を踏破できる自信がつきました。
霊場巡礼と「御詠歌」
今回、集めて回るのは、かつて花山法皇が巡礼した際、各地に残した「和歌」。完成の暁には、各地の和歌が一冊にまとめられた「オムニバス」となります。バイクで巡って「家宝」を作るという事にロマンを感じざるを得ません。
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補陀落や 岸うつ波は三熊野の 那智のお山に ひびく滝津瀬
短歌に載せられた情景をバイクに乗って地肌で感じると、意義深い旅をしているように思います。
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御本尊は如意輪観音菩薩。この世の苦悩、混乱から人々を救うとされており、世界情勢不安やパンデミックに晒されたいま、この地に導かれた私は、不思議なパワーを感じざるを得ませんでした。
伊勢へ七度熊野へ三度
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せっかくなので「青岸渡寺」「熊野那智大社」からすぐ近くの名瀑「那智の滝」へ。この滝の水柱は落差133mもあり、日本一の高さを誇ります。原生林を流れ落ちる大きな滝は大迫力であり一見の価値あり。神社仏閣を含む那智山は「伊勢へ七度 熊野へ三度」と言われるだけあって長旅を想定しておき、見どころがたくさんあるためツーリング計画にゆとりを持たせておくことをおススメします。