図4は、上記6カ国の人口100万人あたりのコロナによる死亡数の変遷を同時に図示したものである。
アジアの3カ国は、欧米と比較して、流行初期には圧倒的に死亡者数が少なかったのが、コロナワクチンの接種が始まったのにもかかわらず、2021年の中盤以降は、欧米と同様に死亡者が見られるようになった。とりわけ、日本は、2022年の8月以降は世界でも最多のコロナによる死亡数が記録されている。

図4 人口100万人あたりの新型コロナ感染症による死亡数の推移Our World in Dataより
ワクチン接種が始まる前は、コロナによる死亡数が抑えられていたにもかかわらず、ワクチン接種が普及した2021年以降に死亡数が増加したことから、6カ国のワクチン接種状況を検討した。
図5にはワクチンの接種状況を示す。アジアの3カ国は、開始時期は遅れたものの、1回目、2回目の接種率は最終的には欧米を凌ぎ、国民の80%以上が接種済みである。なかでも、日本の追加接種回数は、ダントツで他の国の2倍以上である。

図5 コロナワクチンの接種状況Our World in Data
コロナによる累積死亡数が少ない事を理由に、日本のコロナ対策を自画自賛する意見もあるが、累積死亡数が少ないのは、アジア諸国に共通して、流行初期には欧米と比較して死亡数が少なかったことによる。
アジア諸国では、過去に類似のウイルスへの感染者が多く、交差免疫を持っていた可能性が高い。ワクチン接種を含めて、コロナ対策が本格化した2021年の夏以降になると、アジア諸国の優位も揺らいでいる。
ワクチンを頻回接種すると、免疫能が低下することが知られている。日本のコロナ対策はワクチン接種の推進一本槍であるが、その結果、世界で最多のコロナによる死亡が見られるようになったことを考えると、わが国のコロナ対策を自賛することはとてもできないであろう。
9月20日から7回目のXBB対応ワクチンの接種が始まったが、専門家はいまだに“重症化予防のためにワクチンを接種しましょう”とワクチン接種を推奨している。追加ワクチンの接種率がダントツの日本が、世界でもコロナによる死亡数が最も多い現実をどのように説明するのだろうか。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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