「考える」という発想から引き出した私なりの答えについて、それが仮に間違っていてもそれは構いません。なぜなら自分として一定の根拠をもって引き出した答えだからです。このようなアプローチは生成AIでは多分、不可能かもしれません。

生成AIの恐ろしいところは偽情報をつかまされたケースを別とすれば失敗することがない点です。しかし、80点か90点は取れるけど120点は取れないのです。逆立ちしてもあっと驚く発想には結びつかないだろうと思います。それでも多くの人々が幸せになればよいだろうと。そうかもしれないですが、考えることができない人間が人類の大多数になることで偏った行動規範となることがもっと怖いとも言えます。

かつて「みのもんた教」が主婦への強烈な影響力として話題になりました。氏のお昼のテレビ番組で述べたことで夕方にはスーパーマーケットの商品が売り切れるといったことがしばしば起きました。同様に人々は生成AIから引き出された答えをそっくり信じるでしょう。そしてそれを疑う能力がないもないのです。一歩、後ろに下がってみるとか、考え直すという表現は人類から消えるかもしれないのです。

私はいろいろな方と会話をするなかで時として嫌な思いをすることがあります。それは頑なに信じている人でその頑なさが一定の論拠に基づくものならいいのですが、「テレビでそう言っていた」「新聞にそう書いてあった」という受け売りの人は私が「それもそうなのですが…」といっても絶対に聞く耳を持たないのです。いや、持てないのです。理由は簡単でそれを否定するだけの知識がないからなのです。

これは不幸ですし、騙されやすい人も増えると思います。

あくまでも各人のポリシーだと思いますが、私の頭脳はまだ磨けると思っています。皆さんの頭脳もそうだと思います。生成AIには負けたくない、それが私のささやかな抵抗であります。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月15日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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