開始前から話題になっていたインボイス制度(適格請求書等保存方式)が10月1日(日)にスタートしました。

今後どうなるのか注目される中、株式会社帝国データバンクは、制度開始から間もないタイミングで、インボイス制度への対応状況および懸念事項について企業へアンケートを行いました。

おさらい!そもそもインボイス制度とは?

インボイス制度とは、2023年10月1日(日)から開始する複数税率(品目によってかかる税率が10%と8%に分けられること)に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。

インボイス制度導入後、仕入税額の控除を受けるためには、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行・保存が必要です。同制度は消費税の免税事業者・課税事業者にかかわらず、全ての事業者に影響があり、早期の対応が必要と言われてきました。

何が問題視?

インボイス制度導入にあたって特に問題として挙げられたのが、これまで消費税の申告・納付が免除されていた経営規模が小さい事業者やフリーランスなどの免税事業者の動向でした。

インボイスを発行できない事業者との取り引きは最終的に税負担が増すため、事業者登録を要請されることもあるとのこと。また、課税事業者の経理事務も負担が大幅に増すことが予想され、インボイスへの対応にともなう企業の混乱が一部で報じられてきました。

企業のうち3社に2社がインボイス制度に「順調に対応」

インボイス制度が開始された時点で、自社の対応状況を聞いた結果、6割が「順調に対応できている(65.1%)」と回答し、企業の3社に2社が順調にスタートを切っていることが分かりました。

一方、3割の企業が、「対応がやや遅れている(28.5%)」「対応が大幅に遅れている(3.1%)」との回答から、混乱状況がうかがえます。

回答した企業からは、「社員や取引先へ早めに対処していて、何とかスタートできた(機械製造)」「インボイスの申請はしたけれども、番号の連絡等がない(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)」「振込手数料など、取り扱いについて手探り状態のものが多い(運輸・倉庫)」などといった声が上がりました。

制度導入にともなって9割の企業は「懸念事項あり」

インボイス制度の導入による懸念事項(現在/今後)について尋ねたところ、9割の企業が「懸念事項あり(91.0%)」と回答しました。残りの回答は、「懸念事項なし(6.0%)」「分からない(2.9%)」と少数でした。

回答した企業によると、「社内周知に力を入れてきたが、費用の都合上、システムで対応できない部分もあり運用面での不安が残るうえ、大手の販売先でも対応がギリギリまで分からない先もあったため、今後トラブルが起きないかなど、とにかく不安が多い(機械・器具卸売)」「準備は進めてきたが、後々不備が発覚するかもしれないと不安(機械製造)」と、準備を進めてきたとしても、不安がぬぐえない企業は多いようです。