アジア最高の法人税率が空洞化を生む

これをOECDが問題にし、法人税率の下限を15%にする国際カルテルが結ばれたが、これはおかしい。上の図でもわかるように、法人税率と税収には単調な関係はないからだ。前にも紹介したように、日本の法人税率は(地方税を含めて)アジアで最高であり、これが空洞化の大きな原因である。

たとえば先日2023年8月期の連結売上高が始めて3兆円を超えたファーストリテイリングの海外ユニクロ事業の営業利益は約2.3兆円。国内の2倍である。ユニクロの店舗数も国内807店に対して海外1633店。社員の8割は海外で採用されている。

ファーストリテイリングの連結決算

これは経営者としては当然である。人口が減って高齢化する日本より、成長するアジアに投資し、アジアで生産してアジアで売る。ユニクロは輸入企業なので、柳井正社長もいうように「円安はデメリットのほうが多い」。

日銀の黒田総裁のやった円安誘導は、ユニクロのようなグローバル企業の資本逃避を進め、国内の雇用喪失をまねいた。これを巻き戻すことは容易ではないが、政府にできる政策は、法人税をOECDの下限15%まで下げることだ。

これによってグローバル企業が帰ってくれば、税収は増えることが期待できる。東京に法人税ゼロの特区をつくれば、アジアの金融センターにすることもできるかもしれない。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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