世の中は減税の大合唱だが、与野党ともに圧倒的に多いのは消費税を減税しろという話だ。その中で、消費税を増税して法人税を下げろと提言しているのが財界である。
法人税率を下げると税収が上がる経団連はなぜ「消費税引き上げ」ばかり提言するのか 過去には「税率19%への引き上げ」を前提に試算公表 AJKypfmV#マネーポストWEB#増税 #消費税 #負担増
— マネーポストWEB (@moneypostweb) September 11, 2023
先日出た経団連の主要政党の政策評価には「社会保険料負担の抑制を含む現役世代の負担増を抑える財源確保策の具体化」と書いてあるだけだが、9月に出た提言には「中長期的な視点からは、消費税の引上げは有力な選択肢の一つ」と書かれている。
これは正しい。社会保険料負担を抑制するには(給付の削減とともに)世代間で公平に負担する消費税を増税すべきである。問題はこれを「法人税の引き下げのために消費税を上げる」と解釈する人が多いことだ。これは左巻きのマスコミだけでなく、右翼にも多い。
経団連は10日、自民党を中心とする与党の政策を10年連続で高く評価するとして会員企業に自民党への献金を呼び掛けた。更に少子化対策の財源を巡って消費税増税を検討するよう改めて同党に求めた。消費税上げ、法人税下げで株主配当増を狙っているのだと思う。この国民生活が困窮しているときに経団連は…
— 田母神俊雄 (@toshio_tamogami) October 10, 2023
財界が法人税の引き下げを要求してきたことは事実である。これを「財界エゴだ」という人が多いが、次の図のように、法人税率が42%だった1990年度の法人税収(バブルの絶頂)は19兆円だったが、2023年度は税率がそのほぼ半分の23.2%になったのに、法人税収は14.6兆円。2010年以降をみると、法人税率が下がった時期に税収は上がったのだ。
これは法人税のパラドックスと呼ばれ、1980年代以降、ヨーロッパ諸国では法人税率を引き下げたが、税収が上がった。その最大の原因は、法人税の高い国から低い国に生産拠点を移す資本逃避が起こったからだ。かつては工場を移動するにはコストがかかったが、今はGAFAMのグローバル本社機能の多くは、法人税率12.5%のアイルランドにある。