黒坂岳央です。 アリババグループの創業者、ジャック・マー氏が残したのが本稿タイトルのセリフである。とても学び多き言葉であり、あちこちで字幕付きの動画が公開されている。

厳しさを感じるが、これほど真理をついた言葉はないだろう。貧乏が悪いのではなく、貧乏”マインド”が悪いという話だ。これは所得の問題ではなく、価値観の問題なのである。価値観はいつからでも変えられるので現在貧乏マインドでも改善できる可能性は残されている。

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貧乏マインドの何がダメか?

貧乏マインドのマイナス点を一言でいうなら、それは「リスクを取らずに現状維持を選ぶため、未来への期待値は常にゼロ」という点にある。世の中はテクノロジーの変化や人類の知の底上げが起こっていて常に前進している。つまり、現状維持を好む貧乏マインドになることで世の中の変化に確実に取り残されてしまう。これが最も恐ろしいのだ。

貧乏マインドの持ち主は新しいことを初めてみよう、という提案に対してことごとくできない理由を並べ立てる。また、人間は自分の考えが正しいと思い込む動物で、偏重的に同じ意見の持ち主を収集するという特性がある。そのため、同じく変化を否定し現状維持を好む人同士で慰めあっている状態になる。こうなるとますます、現状維持が強固になってしまう。

さらに悪いことにリスクを取って変化を起こす人に否定的な言葉を使う。「あいつはバカなことをやっている。今に失敗する。愚か者め」という具合だ。これは挑戦者を否定しなければ、何も行動せずに時代から置いてけぼりになる自分を意識して精神的安定を保てないためだ。繰り返し挑戦に否定的な言葉を使い続けることで、意識ではなく無意識レベルでも行動や習慣に変化をもたらし、結果ますます行動しなくなる。つまり、自分が出す呪いの言葉で自縄自縛になっている状態だ。彼らが口にする「生きづらさ」は実は自分自身でそうしているのである。

そしてバカにしている挑戦者が成功を収めると、自分との格差が大きく開く現実を受け入れられず、悔しさから足を引っ張ったり妬んで悪口を流布するという攻撃に走る。成功する人を誹謗中傷して訴訟される人を見てみると、そのほとんどが嫉妬心から攻撃している事がわかる。これこそが典型的な貧乏マインドである。