会社がなくなる瞬間は、キレイじゃない
会社が倒産するときに、社長の人間性がハッキリ表れます。民事再生法などで再建できればいいですが、中小企業ともなれば、そのほとんどが清算、破産に向かいます。
社長としては、人生を賭けて興した会社が潰れてしまうわけですから、忸怩たる思い以上のものでしょう。
「人間性がハッキリ表れる」と言いましたが、これは二つの行動結果に分かれます。それは、「最後まで社長としての責任を取って、きちんと会社を終わらせる」というものと、「逃走」です。
「破産」のイメージは正直言って、あまりよくありません。「失敗した」「ダメ社長」「人様に迷惑をかけた」などなど、こういう負のイメージがまとわりつきます。しかし、破産は違法なことではなく、法律で認められた制度です。
社員や取引先、顧客からは恨まれることもあるかもしれません。しかし、こうした厳しい声に耐えながらも、最後まで責任を果たし、破産手続きをきちんと進め、債務に関しても決着をつける。このように最後まで責任を取るタイプの社長もいます。
一方で、逃げてしまう社長もいます。
クレームや批判に耐えられない。破産者になりたくない。世の中が悪い。俺だけの責任じゃない。色々な考え方はありますが、最後は社長としての責任を果たすことなく、逃げてしまう。こういう社長もいます。
前述のとおり、自ら命を……というよりはいいのかもしれませんが、結果として関係者は迷惑を被ります。
そして、この二つの結果は、普段の社長からはわからないものです。
よく、「人は追い詰められたときに本性が出る」とは言いますが、普段から人として尊敬され、ボランティアや寄付活動に熱心だった社長が、最後は失踪してしまったという例もありますし、その逆もあります。
普段は仕事振りもいい加減で、社長としてはどうなの? という社長でも、最後は根性見せて、借金までして社員になけなしの退職金を支払うということもあります。
だから、最後の最後までわからないのです。
そして、会社の最後はお伝えしているように、キレイな終わり方ばかりじゃありません。
自死を選んでしまう社長もいるように、やはり社長という仕事は重責で、社員から見たらわからないような重圧と戦っているのかもしれませんね……。
ちなみに最後。星1つとも2つとも3つともいえるシグナル。それは、社長自身の「健康問題」です。
健康問題に関しては、未然に防げるものもそうでないものもありますが、少なくとも健康診断に何年も行っていない経営者なんかは、見えないシグナルを発信しているのかもしれません。このあたりにもご注意です。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年10月10日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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