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「人間の本性は、追い詰められたときに出る」とはよく言うもので、社長の場合も同じことがいえます。ギリギリまで取引先や顧客、社員のために奔走するのか、それとも逃げてしまうのか。「普段は良い人」だから、倒産手続きもきちんと行うとは限らないのです。

「会社がなくなる瞬間は、キレイじゃない。倒産手続きなどせずに逃げてしまう社長もいる。普段の様子からはわからないことも多い」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。

社長と連絡がまったく取れなくなる

本当の倒産が近づくと、最後は社長と連絡が取れなくなります。突然取れなくなることもあれば、徐々に取れなくなることも。後者の場合は、最初は銀行などからの連絡に対応するも、徐々に策がなくなり、電話に出ることが怖くなる。

そして、だんだんと折り返しの電話もなくなり、会社に行っても社長がいない。そんな感じです。

社長がいなくなってしまえば、もうできることはほとんどありません。銀行は貸したお金は「不良債権」として諦めるしかありませんし、社員は自主退職するしかありません。

正直、お手上げです。社長のスマホや車にGPSでもついていれば、追跡できるかもしれませんが、事前にそんな対策をしている会社もないでしょうし、社長がいなくなり、まったく連絡が取れなくなったら、ジ・エンド。残念ながら、バッドエンディングです。

法令遵守意識がない社長は超危険

ところで、これは説明するまでもなく当たり前のことなのですが、やはり法令遵守意識のない経営者は危険です。それも超危険。

近年の企業不祥事事例を見ているとよくわかりますが、法律違反をしたら一発アウトというのはよくあること。

脱税や助成金の不正受給に始まり、許認可の虚偽申請、残業代未払いの揉み消し、著作権や特許・商標などの知的財産権の侵害など、法律違反の例を挙げるとキリがありませんが、どんなに小さなことであっても違法は違法。このあたりの意識がない社長は超危険です。言い訳もできないし、言い逃れもできないですからね。