就職希望先が心配な場合は年金機構の被保険者数を調べるべし

 偽装請負を増やすことは、企業にとってコストカット以外にもメリットがあるという。

「企業のサイトを見ると、従業員数を業務委託契約者も入れてカウントしているところもあります。従業員数を開示すべきというルールはありませんし、実態よりも会社を大きく見せたい場合に行っている企業は少なくありません。また人数が多くなると、それだけチームの一体感を演出するにもつながるため、統制も利きやすくなる。コストカット以外にも業務委託の利用価値があると企業側は判断しているのでしょう」(同)

 とりわけIT業界、美容院・理髪店業界、水商売業界に偽装請負が多いという。では、仕事を探すときに気をつけるべきことは何か。

「前提として業務委託で仕事を請け負うことは、自身の社会保険費の負担が大きくなりすぎるため、推奨はできません。業務委託で働く場合は、何らかの業界で経験とスキル、コネクションを獲得し、フリーランスとして活動できるぐらい実力がないととてもじゃないですが割に合いません。どうしても働きたい企業が見つかった場合は、その企業がきちんとアルバイト、もしくは正社員で採用してくれるか確認するべき。手っ取り早い確認方法としては、日本年金機構の被保険者数を確かめてみるとよいでしょう。方法は簡単で、日本年金機構のサイトで調べたい企業の名前、もしくは法人番号を入力するだけ。企業のサイトに書いてある従業員数と被保険者数が食い違えば、業務委託の割合が高い可能性があります。

 個人事業主、フリーランスに対する法律は整備されつつあるといえますが、最低限の保障はまだまだ不十分だと考えています。偽装請負の増加は、業界の衰退を招きますので、罰則の強化や個人事業主の立場を強くするような対策を施していくべきでしょう」(同)

 就職、転職を検討している人は、仕事の内容や給与条件以外にも、雇用形態といった契約面をしっかりと確認すべきということだろう。

(取材・文=文月/A4studio、協力=中谷充宏/M&Nコンサルティング・センター長)

提供元・Business Journal

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