「胆大心小」は人間性をあらわす四字熟語のひとつです。
大胆でありながら配慮ができる人を指す表現となります。
では、この言葉はどのようにして成立したのでしょうか?
ここでは「胆大心小」という言葉について、その意味や由来、幅広くある対義語について解説します。
「胆大心小」とは

まずは「胆大心小」がどのような言葉なのかを見ていきましょう。
「胆大心小」の意味
「胆大心小」とは、度胸がありその大胆さの一方で細心の配慮を重ねることができるという、相反するように見えるふたつの人間性を兼ね備えていることをあらわす言葉です。
度胸で人を引っ張るだけでもなく、配慮で人の心を安心させるだけでもなく、そのふたつを兼ね揃えた人物という事になります。
「胆」とはなんのこと?
胆大の「胆」は度胸のことを指しています。
肝臓に宿っている感情とされてきた歴史があり、「肝っ玉」と言われることもあります。
「心」は、配慮のことです。
「心小」は、心が小さいのではなく、細かな気配りができることをあらわしています。
「胆大心小」の由来

この「胆大心小」という言葉は、どのようにして生まれたのか、その由来について見ていきましょう。
「胆大心小」は古代中国の歴史書の一節から
「胆大心小」は、古代中国でまとめられた「旧唐書」の「遜思邈伝」から来た言葉だとされています。
その一節に「胆は大ならんことを欲し、心は小ならんことを欲す」とあります。
これは、「人は度胸があって、かつ注意は細やかであるべきだ」という趣旨の言葉です。
こうあるべきだという一種の理想をいった言葉が転じたことで、度胸の大胆さと細心の配慮を兼ね備えていることを指すようになったと考えられています。
出典の「旧唐書」とは
「旧唐書」はきゅうとうしょではなく、「くとうじょ」と読む古代中国の歴史書です。
618年~907年にあった唐王朝の歴史をまとめた書物となります。
本紀20巻、志30巻、列伝150巻の全200巻から成立しています。
宋代に新出史料も加えて発表された「新唐書」と比べても、「旧唐書」の方がよりも詳しいとされていることから、現在も当時の歴史の研究に欠かせない存在とされています。