価値の無いものやありきたりであることを意味する「路傍の石」。
この言葉の歴史は浅く、まだ生まれて100年も経っていない表現とされています。
その成り立ちは少々特殊で、小説のタイトルから来たとされています。
そんな「路傍の石」という言葉について、ここでは解説します。
目次
「路傍の石」とは
・「路傍の石」の意味
・「路傍の石」の用い方・例文
「路傍の石」の由来は小説の題名から
・小説の「路傍の石」
・実在の「路傍の石」は岩!?
「路傍の石」とは
まずは「路傍の石」が何を意味するのか見ていきましょう。
「路傍の石」の意味
「路傍の石」とは、無価値なものやどこにでもあるありきたりな存在のことです。
「路傍」が道端のことを指しているので、どこにでも転がっているような石のことということになります。
「路傍の石」の用い方・例文
「路傍の石」は、そこにあってもなくても同じ物事に対して使用します。
「俺にとってお前は路傍の石のようなもんだ」なんて言われたら、いてもいなくてもいい存在もしくは目に入らない取るに足りない存在だということになります。
人に対して用いるには、相手に屈辱を与えすぎる言葉ですね。
「路傍の石」の由来は小説の題名から
ここからは「路傍の石」の成り立ちについて見ていきましょう。
小説の「路傍の石」
「路傍の石」は、山本有三という人物が執筆した小説の題名が由来とされています。
主人公の愛川吾一という少年が、明治時代中期を舞台に厳しい境遇にありながらも逆境に立ち向かいながら生きる様子が描かれた作品です。
作品自体は、時代の影響もあり連載中止となっています。
実在の「路傍の石」は岩!?
東京都三鷹市にある『山本有三記念館』。
そこは、山本有三が1936年から1946年にかけて、実際に家族と住んだ自宅を記念館とした場所です。
1937年に連載を始めた「路傍の石」も、この家で執筆されました。
この山本有三の元自宅である山本有三記念館には、「路傍の石」と呼ばれる石があるのですが、それは岩といったほうが正しいと思われるほど大きな物となっています。
その岩は、道端で山本有三が見つけたものを自宅まで運搬させたものなのだとか。
ちょうど「路傍の石」を執筆していた時期だったこともあって、「路傍の石」と呼ばれるようになりました。