昨今問題となっている「SNS広告を利用した偽広告(詐欺広告)」。有名人や有名サイトなどの写真や名前を勝手に使って目的のサイトに誘導するという悪質な手口です。

結果は複数パターンあり、実際に投資をすすめられたり、手数料と称した金銭を取られるなどがあります。

主にFacebookでそうした広告が出てきていたのですが、近ごろではFacebookと運営会社(Meta社)を同じくするInstagramにも頻出。筆者のタイムラインでは実に広告の半分ほどが「偽広告」でした。なぜわかるかって?仕事で毎日偽広告をチェックしているからです。

さて、今回はその広告にまんまとひっかかるとどうなるか?実際にやってみました。

■ SNSの広告出稿機能を悪用した「偽広告(詐欺広告)」とは

SNSの広告を利用(入り口)とした、「偽広告(詐欺広告)」。偽広告といっても広告自体は本当に出稿されていることから、一般の人には「詐欺かどうか判断しづらい」というのが最大の問題点です。

これはFacebookやInstagramの……言い方は悪いですが「審査がユルすぎる広告出稿システム」を悪用したもので、気軽に広告出稿できるという利便性がある一方で、現状のように「悪いやつまで気軽に広告出稿できてしまう」状況になっています。

こうした審査の面では、近ごろミソクソ言われている、X(Twitter)の方がはるかにマシ。ユーザー属性もFacebookやInstagramよりうるさ方が多く……もとい、ITリテラシーが高く、おかげで通報機能を積極的に利用する傾向にあるのでしょう。Xの場合は、たとえ偽広告が出稿されても掲載されつづけることはほとんどありません。

この手の広告は筆者が確認しているだけで大きく2パターンあります。

(1)著名人の名や写真を無断で使用したパターン
著名人の名や写真を無断で使用し、サイトへ誘導。偽著名人が主催する、セミナーや投資関連のビジネスに参加を促す内容。
悪用されているのは分かっているだけで、実業家の堀江貴文氏、ZOZOTOWNの元社長・前澤友作氏、株主優待で有名な桐谷さん、などがいます。それぞれご本人が自身のSNSで注意喚起も行っています。

(2)有名ニュースサイトを模倣したパターン
編集部で確認しただけでも、Yahoo!Japanバージョン、日経新聞バージョンとあります。広告ではセンセーショナルなトピックを掲載。Yahoo!や日経サイトを模したページに案内され、投資等に関するニュースが掲載されています。記事は、最終的に投資を促す内容です。

これまで(1)のパターンには散々潜入してきました。堀江貴文氏の名を騙るFacebook広告に複数潜入し、「自称・堀江貴文」ともLINEで交流。その結末は別途詳報済みです。結果はまぁ、投資に勧誘されたというものですが。

今回紹介するのは初潜入の(2)のパターン。有名ニュースサイトになりすました広告が窓口です。ではさっそく結果を見ていきましょう。

■ インスタグラム広告の偽有名サイトにつられてみた

潜入を試みるためまずはInstagramを巡廻します。目当ての広告は……わずか5秒で見つかりました。冒頭説明したように、筆者が巡廻している時点(10月4日)では、表示された広告の約半数が「偽広告」だと断言できるものばかり。ここまで数が多いことにも驚きですが、ここまで気軽に出稿できてしまうInstagramの出稿システムにも問題大ありとしか言えません。

さて、発見したのは、「トヨタ自動車」が投資に関する何かしらの発表をしたという「ニュース」の広告。株式や投資に興味がある方はまんまとタップしてしまいがちですが……。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

タップすると、なんと「日本経済新聞(日経新聞)」の記事。これはもう、確実に安心できるニュースソース……。

と思うかもしれませんが、お待ち下さい。これこそが今回紹介したい巧妙な「罠」なのです。もちろんこれは偽サイト。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

記事内では、詳細がタップできるようになっているのですが、それをタップすると……

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

なぜかいきなり「名前」や「メールアドレス」等の「個人情報」の入力を求められます。

もちろんこの時点でITリテラシー能力の高い方は感づくはずですが、今回はこの先入力していくとどうなるか、あえて実践してみます。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

個人情報の中には「電話番号」まで入力させられます。個人の電話番号はさすがに怖いのですが、取材用に別途用意した携帯番号を入れてみます。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

すると、5分ぐらいで電話がかかってきました。

まさか!?と思うかもしれませんが、電話番号は「050」から始まる番号で、身に覚えのないもの。ということは、やはり先程入力した情報をもとに電話をかけてきたのか。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

電話に出てみると、外国人らしき男性が片言の日本語で「トウロク・アリガトウゴザイマス」とのお礼。

その後、案の定「投資」に関するサイトへの誘導を促されました。そのサイトで3万円ほどまずは入金して、投資を始めて欲しいそう。

ここで拒否することもできたのですが、せっかくなので色々話を聞いてみました。

インスタに出てきた「偽有名サイトの投資記事」に釣られてみた 「ワタシイウコトダイジョブ」……全く信用できない相手との会話の内容も全公開
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)