黒坂岳央です。
人生はいつでもあっさりと悪い方向へ狂ってしまうことがある。自分はそういう事例はかなり見てきたつもりだ。店舗開業した直後にコロナが来て借金だけが残ったビジネスマン。何十年もコツコツためた資金を個別株全力買いで一瞬で失う素人投資家。そして、幸せな家族生活を送っている時に離婚がきっかけで一気に人生が八方塞がりになってしまう子持ちの親である。
前者についてはリスクコントロールでなんとかなる。だが、子持ちの親が離婚がきっかけでいきなり人生が詰むパターンはある種、防ぎようがないところもある。
子持ちの親が突然の離婚で人生を詰まないために必要なスキル、それはリモートワーク力だと思うのだ。

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自分はシングルの子持ち家庭には特別な温情をかけたい気持ちを持っている。離婚の原因は本人に落ち度はないことも多い。
実際に見てきたパターンとしては、「会社に行ってくる」といったまま失踪したり、配偶者の病死や事故死、浮気が発覚するというものである。よく「結婚する前に相手の本性を見極めないあなたの責任だ」という話があるが、人の価値観はドンドン変わるので予測は困難な上、病気や事故などは防ぎようがない。離婚で人生が詰むのは本当に気の毒としか言いようがない。残された本人もそうだし、何より子供がかわいそうだ。当然、子供ができた時点では二人で育てていく前提で人生戦略を構築しているので、片方がいなくなると一気に破綻してしまうのだ。
心情的には気の毒だが、現実的には子持ちシングルへの風当たりはかなり厳しい。正社員採用を目指したり、資格取得を頑張ったりしても企業は簡単には受け入れてくれない。面と向かって「あなたは会社のお荷物になりそうだから採用はしません」なんていう人はいないだろうが、内心リスク忌避を計算して採用を見送ることにするパターンは多いだろう。子持ちシングルは子供が急に熱を出して急な休みや早退に加えて、緊急で休日出勤をして対応することも期待できない。人事担当者は採用後に配属先の現場からクレームが来ることを恐れるので、リスクヘッジにインセンティブが強く働いてしまうのだ。
そして子持ちだと学校や塾などの物理的な移動距離を考えると働く先は自ずと近所に限定されてしまう。こうなるとキャリアの幅も狭まる。日中は会社で疲労し、帰宅後は家事や育児で疲労するので休む暇もない。トラブルがあっても相談する相手もおらず、孤独感も強まる。
子持ちシングルは離婚がきっかけで、いきなり大変厳しい状況に置かれてしまうのだ。