スシロー、価格妥当性に難

 そんなスシローの寿司をめぐって、8〜9月頃からサイズが小さくなったのではないかという声がSNS上で目立つようになっているのだ。そこでFOOD&LIFE COMPANIESに確認したところ、以下の回答が寄せられた。

「サイズの変更はしておりません。ただ、『お客様の声をカタチに』というスシローの取り組みの中で、『通常のサイズだとしゃりが多い』『しゃりを少なめに調整できるようにしてほしい』といったお客様からの要望におこたえして、しゃりの量を少なくした『ミニしゃり』のすしを導入しており、タッチパネルのメニューから『ミニしゃり』と記載があるネタを選択して注文できるようにしています」

 フードアナリストの重盛高雄氏はいう。

「久しぶりにスシローを訪問した。前回は今年3月に都市型店舗を訪問したが、そのときに撮影した写真と比較しても、シャリのサイズが小さくなったという印象はない。スシローの課題は、シャリとネタのサイズのアンマッチではないだろうか。見栄えだけでなく食べ応えにも影響が出る。前回訪問した際、咀嚼(そしゃく)時に素材の持つ味わいがほとんど感じられず、どのネタを食べても最初に感じる味わいはほぼ一緒。他の回転寿司チェーンでそのように感じることはない。

 また、スシローの寿司ネタの厚みは他のチェーンと比べて薄めの仕上がりで、物足りなさを感じる。キャンペーン商品やおすすめ商品とまぐろなど定番商品の数皿を注文するだけで、軽く1000円は超えてしまう。回転寿司チェーンは、高級寿司店のような時価ではなく固定価格を武器に成長してきた歴史があるが、素材の持つ本来の味わいを伝える最低限のネタの厚さ・大きさと適正な価格設定が求められている。スシローの定番商品はネタがシャリからはみ出す部分が少ないのも特徴といえよう。

『匠の海鮮巻き重ね』という商品を食べたが、価格以上の体験は得られなかった。今回の訪問でもおなか一杯で満足感を抱えての退店とはならなかった。スシローはアプリで事前に店舗の混み具合がわかるので利便性は高いが、価格妥当性は決して高くはない」

 では、「回転しない寿司」で知られる「魚べい」のほうが寿司のサイズが大きいという声はどうなのか。

「東京都内の魚べいの店舗を訪問した。外国人客も多く見られたが、この店は同チェーンでも珍しく給茶機が配置され、お茶や水はここで受け取る。シャリはほのかに温かみを保ち、一般のすし店同様ネタとシャリの温度差を感じながら寿司を楽しませてくれた。シャリのサイズもスシローとほぼ同じ。ただシャリに温かみのある分、適度な力でネタとともにほぐれて、口の中に味わいが広がる。ネタそれぞれの味を感じさせる温度とネタの厚みは、スシローにはない。ネタのサイズはシャリより大きく、醤油用の小皿があるのもうれしい。また、レシートの表記はスシローは皿の金額と枚数だけだが、魚べいはネタ名が表記されており、何を食べたか備忘録にもなるだろう。

 もし外国人を回転寿司に連れて行くのなら、価格妥当性の点からも、日本の食文化を伝えられるという点からも、スシローよりは魚べいを選んだほうがよいのではないか」

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

提供元・Business Journal

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