「なんちゃって」ではないスバル初のクロスオーバーSUV

「SUVっていうか悪路でも頼りになる4WDワゴン」スバルSUVの原点となった初代・2代目フォレスター【推し車】
発売前の1996年10月、24時間世界速度記録に挑戦して平均速度180.082km/hの新記録を樹立、「世界最速SUV」として名を馳せた初代フォレスター(画像=『MOBY』より 引用)

2023年9月に主力車種レヴォーグのクロスオーバー版「レヴォーグ レイバック」を発表、スバルらしい「4WDワゴン+クロスオーバー」路線を前面に押し出していますが、過去にさかのぼってみれば初代から2代目のフォレスターも、そんなクルマでした。

当時、普通の乗用車にRV的要素を加味した、現在でいうクロスオーバー仕様は「なんちゃってRV」と失笑される存在で、1995年に発売されたレガシィグランドワゴン(現・アウトバック)こそソコソコ好評だったものの、インプレッサグラベルEXは不評。

結局、より本格的なワゴン型RV専用車種として1997年に登場するや、大ヒットしたのが初代フォレスターで、2代目まではSUV(悪路向けRV)というより「悪路でも強いステーションワゴン」に近い位置づけでした。

MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にノミネートされたのも、発売当時のオン/オフ問わない走りの良さと実用性を両立した、オールラウンダーとしての優秀性を記憶している人が多いからかもしれません。

スバルらしい4WDワゴンとして生まれた初代(1997年)

「SUVっていうか悪路でも頼りになる4WDワゴン」スバルSUVの原点となった初代・2代目フォレスター【推し車】
(画像=『MOBY』より 引用)

SUVとして余裕ある最低地上高を持つ初代フォレスターだが、ベースのインプレッサと異なり広いラゲッジルームを持つ、実用性の高いスポーツワゴンとしても優秀だった

初の小型車となった「スバル1000」(1966年)で、水平対向エンジンのFF車という現在まで続く基本を確立し、実験的なスバル1300Gバン 4WDを経て初代レオーネから本格的に4WD乗用車メーカーとして独特の立ち位置を築いたSUBARU(旧・富士重工)。

レオーネがベースのピックアップトラック、「ブラット」(国内未発売)という例外を除けば現在でいうSUVに相当するクルマは作っておらず、他社同クラス車に比べ高い最低地上高と4WDによって、セダンやバン(ワゴン)で普通に高い悪路走破性を発揮しました。

ただ、それゆえに妙に腰高で、デザインもバタ臭いスバル車は、初代レガシィツーリングワゴン(1989年)がワゴンブームの牽引役となるまで日本での人気が今ひとつだったのも事実。

1990年代に本格化したRVブームでも、セダンやワゴンがスポーツ4WDとして認められつつも、現在でいうSUV(当時だとクロカン4WDがそのポジションだった)がいすゞからビッグホーンのOEM供給を受けるくらいで、事実上不在だったのです。

1995年にはレガシィグランドワゴンとインプレッサグラベルEXを発売しますが、それに続いて1997年に発売された新型車が、初代「フォレスター」。

初代インプレッサをベースに、角ばったオフローダールックの背が高いワゴンボディを載せ、伝家の宝刀EJ20ターボで武装しつつ、最低地上高も確保した、いかにもスバルらしくオン/オフを問わず優れた走りの4WDワゴンでした。

インプレッサ スポーツワゴンが名前とは裏腹に、事実上5ドアハッチバック車でワゴンとしての実用性は低かったこともあり、SUVというよりは「レガシィより安くて手頃なワゴン」として人気を博し、自然吸気エンジン車の追加もあって大ヒットしています。