独自のウェーブ形状が熱による膨張や歪みを防ぐ
アウターディスクの形状にも注目してほしいのだが、ベンチレーションスリットおよびスリットホールはサンスターが誇る独自の技術で、ブレーキパッドをクリーニングすることで摩擦力が常に安定し、ブレーキのコントロール性能の向上に大きな役割を果たしている。

加えて摩擦面のウェーブ形状はベンチレーションスリット同様のクリーニング効果だけでなく、軽量化にも貢献。そして、このウェーブ形状はイタリアのブレーキブランドである『BRAKING』おなじみの技術でもあるが、実はこのBRAKINGブランドは2004年からサンスターグループのブランドであり、EPTA Stage0 Racing DiscはサンスターとBRAKINGという2大ブレーキブランドの技術を融合させた革新的なディスクローターという意味でも、注目すべき存在なのである。

しかし、このEPTA Stage0 Racing Disc、注視してみるとアウターディスクの表面だけがウェーブ形状となっており、外周部分は円形を保っているという何とも複雑な形をしている。これは制動時に発生する熱でアウターディスクが膨張したり歪んだりすることを防ぐための対策で、アウターディスクの体積が大きければ大きいほど熱の影響は受けにくくなる。そのために本来ならば必要のないウェーブ部分も『凸』形状に残し、体積を増やして熱の影響を受けにくくしている。また『体積が増える=表面積が増える』ということなので、冷却効果のアップにもつながっている。
軽量化をさらに追求したレーシングスペックでチャンピオンも獲得

また、既存モデル以上の軽量化も追求し、特にインナーディスクは先述の嵌合による締結方法が成形するうえで軽量化につながるだけでなく、素材も軽量かつ高硬度な超々ジュラルミン7075材を採用。この軽さはジャイロ効果(回転する物体が姿勢を保持しようとする力)の発生を抑制してくれるので、ハンドリング性能が向上するのも大きな魅力だ。

EPTA Stage0 Racing Discは2022年にヨーロッパで先行発売。さらにレーシングシーンでは先行して世界のカテゴリーに供給され、2022年にはMotoAmericaのSBKクラスでFresh N Lean Progressive Yamaha Racingが年間チャンピオンを獲得している。


もちろんレーシングマシンだけでなく、貴方が乗っているスーパースポーツバイクにも装着が可能。プロスペックのブレーキ性能を体感したいならば、ぜひともEPTA Stage0 Racing Discにトライしてみてほしい。すでにサーキット走行を楽しんでいるライダー、もしくはST1000/ST600クラスに参戦しているレーシングライダーには、導入必至のマストアイテム。ブレーキの性能が劇的に進化するはずだ。