【Brand Pickup】
皆さんは『サンスター』というブランドをご存じだろうか? バイク歴が長いライダー、もしくはスポーツライディングやチューニングに興味があるライダーならば「ブレーキ」や「スプロケット」を連想するはずだ。一方で、まだバイクに乗り始めたばかりのビギナーや、バイクにそれほど興味がない方々にとっては「歯磨き粉」が真っ先に思い浮かぶだろう。
実はどちらも正解で、元々は1932年に自動車用部品とタイヤのパンク修理用ゴム糊の製造業者としてスタート。その後、ゴム糊の金属製チューブ容器に練り歯磨きを入れて販売を始めたことをきっかけに、オーラル事業へと参入することになる。
さらに1960年代に入ると、二輪用部品製造販売を開始。現在までの70年近い歴史の中で二輪用スプロケットやディスクローターをはじめとした『サンスター』のアフターマーケット向けパーツは、世界中で大きなシェアを獲得。現在ではバイクメーカーへのOEM供給も行っている。
新たに『嵌合締結(かんごうていけつ)』を採用した革新的なフローティングシステム

そんなサンスターが今春に発売し、すでに好評を得ているのが『EPTA Stage0 Racing Disc(エプタ ステージ0 レーシングディスク)』で、新形状のフローティングディスクシステムを採用している。では、その“新形状”とは一体、どんな形なのか?
まずは既存のフローティングディスクシステムだが、アウターディスクとインナーディスクをフローティングピンが締結する形で成り立っている。これは制動時に発生した熱によりディスク全体が膨張したり歪んだりすることを防ぐために、アウターディスクとインナーディスクという切り離した構造にすることで直接的な熱伝導を回避するためである。
ただ、ブレーキが作動するたびにフローティングピンの接点がインナーディスクに大きな負荷をかけ、その部分が徐々に摩耗することでブレーキのダイレクトなタッチが失われていくという欠点もあった。

しかし、このEPTA Stage0 Racing Discはアウターディスクとインナーディスクを締結するピンを廃し、アウターから伸びているストレート形状をインナーに嵌合(かんごう)して表裏からカシメプレートで固定。この方式によりアウターディスクから伝わってくる制動トルクをインナーディスクが面で受け止めることができるので、インナーディスクの摩耗を大幅に抑えてダイレクトなブレーキタッチを得ることに成功している。