多彩な技術力とサッカーIQの高さ

アルバレスは、ハーランドとセンターフォワードのポジション争いをせずにシティのシステムに適応した。戦術家で知られるグアルディオラ監督は、複雑なシステムを使わず分析した試合状況から最も適した選手を組み込むことでそれぞれの持ち味を最大限に引き出している。シティはボール保持時に[3-2-5]のフォーメーションで前進する。その中でアルバレスは、イングランド代表MFフィル・フォーデンとともに、2枚の守備的MFの前方スペースを使いながら、左右関係なくボールを受けている。加入して間もないアルバレスの活躍こそが、彼の技術的な才能とサッカーIQの高さを物語っている。

実際、アルバレスには多くの役割が求められている。ゴールを背にした状態で頻繁にボールを受け、タッチ数少なくボールをはたく。また、狭いスペースでの素早いターンやゴール前に顔を出し得点を狙うなど様々な場面に対応する姿から、求められた多くのタスクをこなす能力を持ち合わせていることがわかる。

マンチェスター・シティ FWフリアン・アルバレス 写真:Getty Images

ボールポゼッションの中心で力を発揮

アルバレスは1対1でチャンスを作り出す選手ではなく、フォーデンのように捕まえにくい選手でもないが、ボールを運びキープする能力に優れており、適切なタイミングでボールを散らすことができる。周囲と連携ながらプレーするため、常にシティのボールポゼッションの中心にいられるのだ。この能力は、しっかりと構造化されたシティのようなチームでも、自由な攻撃陣を形成するアルゼンチン代表のようなチームでも変わらずに発揮され、チームに良い影響をもたらしている。

さらに、デ・ブライネのような脅威的アシスト能力はないが、予測困難なパスを提供する能力を持っている。9月16日に行われたウェストハム・ユナイテッド戦(3-1)で見せたポルトガル代表MFベルナルド・シウバへのアシストは、まさにその力を示したプレーと言える。


マンチェスター・シティ FWアーリング・ハーランド 写真:Getty Images

怪物ハーランドとの共存

様々な役割を果たすために必要な能力を備えているものの、先発メンバーとしてハーランドと共存できるかが注目されていたアルバレス。ハーランドは規格外の身体的優位性と野生的な本能を活かし、主にゴールを決める役割を担っているが、一方でゴールまでのプロセスにはほぼ関与しない。そのため、アルバレスが活躍するためには、ゲーム読解力の他に「ハーランドとうまく連携できるか」が鍵となっていた。

今シーズンこれまで、この2人の選手によって生み出されたゴールのうち、次の2本はアルバレスが決めている。9月2日に行われたフラム戦(5-1)では、ペナルティエリアの左中央付近でMFマテオ・コバチッチからパスを受けたハーランドの動きを読みゴールを決めた。また、9月19日に行われたCL予選のレッドスター・ベオグラード戦(3-1)でも、アルバレスは中央に位置するハーランドのサポートを利用し、相手の背後に走り込んでゴールを決めた。


マンチェスター・シティ FWフリアン・アルバレス 写真:Getty Images