直近8試合勝ち無しの苦しい21位

現在21位と降格圏にいるツエーゲン金沢。残留圏である20位山口との勝ち点差は9となっており、直近の戦績を見ても最も苦しい終盤戦を過ごしていると言える。勝てば浮上のきっかけとなり、残留争いを戦う相手にプレッシャーを与えられるはずであったザスパクサツ群馬との未消化試合(9月27日)は引き分け止まり。さらに10月1日の第37節では、残留圏であり1つ上の順位にいる山口に3-2と敗れたことで、一層自チームにかかるプレッシャーが高まりつつある。

残りの対戦カードを見ると、5戦中2戦が今季勝ち点を得ている対戦カード(第10節モンテディオ山形戦1-0、第20節ブラウブリッツ秋田戦0-0)。だが、同じ結果では残留圏までの勝ち点が足りず、トップハーフに位置するチームとのカードが多くを占めているため苦戦は必至だ。現在首位を走る町田ゼルビアはもちろん、山形をはじめ虎視眈々とプレーオフ圏を狙うクラブとの対戦が多いことも大きな懸念材料と言えよう。

唯一とも言える救いは、残り5戦中4戦をホームで戦えること。シーズンも終盤に入り、移動距離が少なく済むことは選手たちのコンディションにも影響するだけに、これが有利に働くことを期待したい。見方によっては、つい最近まで最下位候補筆頭であった大宮以上に残留が苦しく見える金沢。まずは次の第38節で対戦する秋田戦でホームの利を活かし、8月から続く未勝利期間に区切りをつけて上を向きたいところだ。


ベガルタ仙台 MF遠藤康 写真:Getty Images

まだまだ油断できない残留圏の5クラブ

  • 16位:ロアッソ熊本
  • 17位:ベガルタ仙台
  • 18位:いわきFC
  • 19位:栃木SC
  • 20位:レノファ山口

現状の降格圏2チーム(金沢、大宮)が圧倒的不利なことに変わりはないが、勝ち点10差以内の16位ロアッソ熊本から20位の山口までについても触れておきたい。まず、最も降格圏に近い山口は残り下位勢との対戦が3つ(大宮、仙台、熊本)と多く残っている。直接対決が多いだけに、敗れれば降格圏への転落危機でもあるが勝てば残留がより確実になりモチベーションアップにつながる。

また、17位につける仙台も同様だ。J1復帰を目指したシーズンに低迷してしまっていることは残念だが、残り5戦中3戦が下位勢との対戦だ(いわき、秋田、山口)。1試合ごとの結果に重みがある反面、勝てば自力で残留を引き寄せられるという利点もある。18位のいわきFCは、残り試合で上位チームから下位チームまでまんべんなく対戦を残しているが、現在2連勝中と好調。特に直近の第37節では首位を走る町田を下しており(3-2)、今後の上位対戦でも勝利を期待できることから、J2に上がった初年度に早くもJ3へ出戻るという事態は避けられる可能性が高い。

一方で、19位栃木SCの対戦カードは厳しいと言わざるを得ない。残る5戦すべてが現状のトップハーフに位置するチームとの対戦であり、いずれも自動昇格圏やプレーオフ圏入りの可能性を残す相手ばかり。残留を決定付けたい栃木とJ1昇格の可能性を残す対戦相手という構図が続くことは、栃木にとって必ずしもプラスに働くとは考えにくい。また、現状の順位表では16位につける熊本も危険度は高い。勝ち点43は仙台やいわきと同じだが、消化した試合が1つ多く必ずしも残留圏ぎりぎりの山口と比較して前に出ているとは言い難い。加えて次の第38節以降は、町田、清水エスパルスという上位との連戦が控えており、連敗すれば一気に順位が変わる可能性も高い。

いずれも直接対決の結果と下位2チームの動向次第という前提ではあるが、残りの対戦カード見ていくと降格圏の2チームが上がってきた場合、最も危険なのは栃木、さらに試合数の違いから熊本にも降格の可能性が大きく残っていると見ることができる。残り5試合となり、およそ1か月以内にはこの残留争いにも決着がつく。現在自動降格圏にいる2クラブが巻き返しを図れるのか、それとも残留圏にいるチームがこのまま持ちこたえるのか、1戦1戦の注目度はさらに増していくことだろう。