ところが日本はどうか。自民党は立党の精神が憲法改正だから、「改正」を言うべきだ。しかし、連立の公明党が「加憲」という怪しげな主張をするので、自民党は具体的な改憲策を提示できない。本心は改憲したくない者が多い。公明党にかこつけて、主張を表立って言わない手合いもいる。

これが憲法改正が70年間もサボられた理由だが、どこが間違いか。選挙前に政党が連立していること自体が間違いだ。選挙が明けて、共通の主張を掲げていた党と党が連立するのが公平だ。

それにも拘わらず、日本では立候補時点で連立論議をするから、党の主張が不分明になる。自民党は選挙に当たって、公明党に配慮しないこと。また、立憲民主党は共産党に配慮しないこと。せっかく選挙制度が世界の常識と同じになったのに、間違って適用しているために、役立っていない。

岸田内閣は閣僚が金を使い過ぎたとか、誤魔化したというつまらないことだけに、ウロウロしている。

中選挙区を小選挙区に替えたのは、中選挙区では金がかかり過ぎたからだ。金がかかり過ぎるから公の部分をつまみ食いする。或いは、族議員となって業界から金を持ってくる手合いが目につき過ぎる。昔、2年毎に車検を科して10万円に近い料金を取っていた時代、部品の寿命が2年と短いからというのが理由だった。ところが同時期にヨーロッパで5年保障の日本車を売り出して、「寿命が2年」のウソがばれた。族議員というのはこの類で金を集めているのではないか。

屋山 太郎(ややま たろう) 1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。

編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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