ウクライナ情勢についてはアメリカが煮え切らない態度を続ける可能性があり、EU諸国のマインドにも影響を与えると思います。EUもポーランドやスロヴァキアなど近隣諸国の対ウクライナ支援の足並みが揃わなくなっており、近隣諸国が応援から迷惑というスタンスに変わりつつある点に着目しています。そこにアメリカが十分な声を出せなくなるならこれは戦況に大きな変化が起こりうるかもしれません。

もう1つはマネーマーケットです。アメリカに世界のお金が集まってくるという状況を作っているのは金利が高いことと絶対的市場規模とその安定感故であります。しかし、市場は債務上限問題のような国内政治のいざこざは避けたいというのが本音です。しかも今回の解任劇はアメリカ史上初であり、共和党強硬派の存在が改めて意識され、来年の大統領選を含め、アメリカの将来が予見できない事態になったとも言えます。その場合、潮が引くようにアメリカから資金を引き揚げる動きが出ないとも限りません。(ただし、引き上げてもその資金の行く先もありません。)

折しも株式市場は黒い雲が覆い、明るい話題が欠如しています。こういうのを「地合いが悪い」というのですが、こういう時に想定外のニュースが出ると〇〇ショックという形で具現化しやすくなります。

もともとアメリカの二大政党制度に私は批判的でした。政治後進国とも言えます。本来なら共和党の強硬派は共和党を出て第三極になるべきなのです。だけど、二大政党制度という仕組みが抜けられないアメリカでは第三極がどうやっても育たないのです。これも茶番といえば茶番です。我々はそんなアメリカのお茶の間劇場にお付き合いしなくてはいけないのかと思うといつまで我慢できるのか、そんなにいつまでもアメリカ一極主義は続かないとみています。パクスアメリカーナの終焉が無いとは言えない気もします。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月4日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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