サーモンの身は白身にもかかわらず、甲殻類由来のアスタキサンチンを摂取し蓄積させることでオレンジ色に変化しています。ではなぜ他のサカナの身は同じようにオレンジ色に変化しないのでしょうか。調べてみました。

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サーモンの身が赤い理由は【エサとアスタキサンチンの蓄積場所にあり】

サケの身は本来白い

サケの身はサーモンピンクという表現をするように美しいオレンジ色をしていますよね。

多くの人はこの色により、マグロなどと同じような赤身魚だと勘違いしている人も多いかもしれませんが、これは誤った認識であり、実はサケは”白身”のサカナです。

この白身魚にも関わらずサーモンピンクをしているのはサケが捕食する甲殻類に由来しています。

カニやエビなどは茹でると赤くなりますよね。この赤い色素であるアスタキサンチンがサケの身も同様に赤くしています。

蓄積する場所が異なる

先の内容をもう少し補足すると、アスタキサンチンは植物プランクトン等が合成するカロテノイドが起源です。

甲殻類はこのカロテノイドを自らアスタキサンチンに変換出来ますが、魚類は自ら変換することができずに餌から摂取する必要があります。

摂取するのは人間でいう老化防止に近く、強い抗酸化作用をもつアスタキサンチンを摂取して本能的に健康の維持に役立てています。

甲殻類の場合は、このアスタキサンチンをタンパク質と結合させ、青黒い色として甲羅などの殻に蓄積します。

一方で、多くのサカナはも体表に集めることで紫外線からの保護に役立てていますが、これと同時に紫外線対策にはメラニンを利用しているため、黒に隠れて赤くは見えなくなっています。

泳ぐ層や環境によって色に傾向がある

表層を泳ぐような回遊魚は体表が赤や黒色をしていると鳥から覆われてしまうため、「青魚」と言われるように背側は青く、腹側が黒色をしています。

また、紫外線の届かないような深海に住むタイやキンキ、メバルなどはメラニンが不要なため、アスタキサンチンが有利になり赤くなっています。深海魚の色が赤っぽい傾向にあるのはこのためです。

しかし、タイだからと言っても海面近くで育てる養殖の環境だと体色は黒っぽくなっていきます。

これだとタイとしての商品価値が下がってしまうため、この場合は色をよくするためにアスタキサンチンを別途配合されたエサを食べさせることで解消し、美しいタイに仕上げているのです。

また、年老いたタイなどが赤くなく、黒っぽい色をしているのも同様の理由からです。