好事魔多し!? 2つ目のトラブルが発生!

大谷は昨年も非常に燃費が良かったが、今年もやっぱり燃費がいい。岡本の平均燃費を上げて走っている。ということで、もう少しガソリン使ってもいいので、ペースを上げて欲しいということをピットから伝えようか相談しているときに、事件は起きた!

D大谷「あー、最終コーナーで飛び出してしまいました!」

大谷からのこのピットへの連絡の直後に、場内アナウンスが流れる。

場内実況「おーっと、最終コーナーで飛び出している車両がいるぞ。ゼッケン44、カー・アンド・ドライバー号だぁ!」

ピットからスタッフが最終コーナーを見ると、たしかにCD号が最終コーナーで止まっている。グラベル(走路外にある砂エリア)にハマッてしまい、自力では抜け出せない模様だ。

PIT「身体はダイジョーブですか?!」 D大谷「ダイジョーブです。マシンもどこにもぶつかってませんが、グラベルから抜け出せません…」

その後、コースにはセーフティカーが導入され、CD号はレッカー車で救出される。ピットに戻ってきたマシンは、エンジンもかかるし、とくに走行に支障はなさそう。下回りにたまった砂を応急処置でかきだす。ピットでは大谷の乗車時間を確認しているが、あと3分程度、大谷には走ってもらわないと、最後、乗車時間がオーバーしてしまうということで、もう少し走るように指示する。

波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】
(画像=最終コーナーのサンドトラップにつかまったCD号をレッカー車で引き上げる。、『CAR and DRIVER』より引用)

その後、第4ドライバーの加藤英昭(フリーランス・ライター)にドライバーチェンジ。この時、給油も行う。もう勝負権はなくなってしまったので、来年に向けてのデータ取りに目標をチェンジする。とはいうものの、20分近く止まっていたこともあって、ガソリンはかなり余っている。徐々にペースを上げていき、全開でも最後までガソリンはもちそうということもわかり、全開での走行に切り替える。

波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】
(画像=レース中、給油は1回、20Lを入れる。、『CAR and DRIVER』より引用)

そして第5ドライバーの瀬在仁志(モータージャーナリスト)にドライバー交代をするが、瀬在は自分がこれ以上走るより、来年のために山本に走ってもらって経験を積んでもらった方がいいという提案をしてくれる。めっちゃ男前だ! これにはほかのドライバーも賛同してくれて、ドライバー申請を再登録し直すことに。そしてチェッカーまで残り約30分、第6ドライバーとして山本が再度コースに出て行く。

波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】
(画像=ドライバー交代は1分間停車。山本は第6ドライバーとしてチェッカーまで走る。、『CAR and DRIVER』より引用)

山本は夜の走行に慣れていないのか、ラップタイムがなかなか上がってこない。そこでピットからは、「チンタラ走ってるんじゃねぇ、男を見せろ!15秒台に入れてこい!」
と檄を飛ばすと、なんと翌周には14秒台に入れてくるではないか。最初からやれよ、という言葉は飲み込み、檄を飛ばし続ける。

するともう少しで抜けそうな同一周回のマシン(#64 CarWatch)が1台出てくる。目標を失ってしまった自分たちには、打ってつけのライバル登場だった。ピットでは、プラカードキッズを持ってくれた少年が「がんばれー!抜けー!」
と大きな声で声援してくれている。そのことを山本に伝えると、さらにペースアップ。ついにはパスすることに成功した。この時ばかりはピットも大盛り上がりだった。

そして、20時16分過ぎ、4時間を走り終えて各車続々とチェッカーを受ける。CD号も無事にチェッカーを受け、ピットは歓声に包まれる。戻ってきた山本をみんなでねぎらいの言葉かけて迎えると、山本の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】
(画像=ドラマ(トラブル?)はいくつかあったものの、完走できて良かったとみんなで喜ぶ。、『CAR and DRIVER』より引用)

落ち着いてからリザルトを見ると、抜いたはずの#64 CarWatchチームの方がCD号(#44)よりひとつ上の順位になっている。なぜ?というのも、 実はレッカー救済を受けると5周減算になるというレギュレーションを我々はそのときすっかりと忘れていたのだった…。でも、すでにサポーターは気持ち良く帰ってしまっていたので、そのときお知らせするのはやめておきました。笑

波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】
(画像=最後はニッコリ記念写真をパチリ。、『CAR and DRIVER』より引用)

最後になりますが、CD号がコースオフしてしまったことで、戦略が変わってしまったチームのみなさま、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。(チーム一同より)

統括編集長・山本善隆のコメント

まず、マツダはじめ主催者・スポンサー各社に御礼申し上げます。そして、多くのサポーターの皆様には心より感謝申し上げます。今年のレースに臨むにあたって、昨年の勢いにのって、より上位の結果を目指していたのですが、残念な結果に終わってしまいました。しかしながら、レースには不測の事態が常に起こり得ること、そしてこのレースのレベルの高さをあらためて実感したこと。個人的にも、特に夜の走行を経験できたことで、暗さという視界そのものはもちろん、レース終盤におけるタイヤとブレーキの状態、そして様々なペースが入り交じる他車との駆け引きなど、その難しさを体感できたこと。なにより、最後は全開走行ができたこともあって”走る歓び”を存分に堪能できたことは非常に良い経験でした。また来年、心機一転を図り、より上位を目指して、チーム一丸となって準備していこうと思います。そして、こちらの記事も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

提供元・CAR and DRIVER

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