百田尚樹氏などの結成した「日本保守党」が、ネット上で話題になっている。ツイッターでは自民党を超える30万人のフォロワーを集め、党員も3万人を超えたという。知名度も話題性もあるので、泡沫政党としてはトップになるのではないか。

時代錯誤の皇国史観を語る「結党宣言」

ただその公式サイトをみると、政策にはほとんど中身がなく、時代錯誤の国粋主義が語られているだけだ。特に問題なのは百田代表の「結党宣言」である。

神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系の天皇を中心に、一つの国として続いた例は世界のどこにもありません。これ自体が奇跡といえるでしょう。

「神話とともに成立し」というのは意味不明だが、2000年前だとすれば弥生時代後期で、当時まだ天皇家は影も形もなかった。「万世一系」は明治時代に岩倉具視のつくった言葉で、それほど古いものではない。百田氏も『日本国紀』にこう書いている。

継体天皇の代で王朝が入れ替わったとするなら、むしろ納得がいく。「武烈」、「継体」という諡号も、極めて暗示的な名であり、多くの学者が継体天皇の時に、皇位簒奪(本来、地位の継承資格がない者が、その位を奪取すること)が行われたのではないかと考えている。私も十中八九そうであろうと思う。

継体天皇(在位507~531)については謎が多いが、その先代の武烈天皇とは断絶した新しい王家だという見方が多い。百田氏は、継体が皇位を簒奪したという説をとっている。これ自体は歴史学者も(一つの説としては)認めるだろうが、「万世一系」という日本保守党の理念とはおよそ相容れない。