仮定の話をすると500億円x4%のリターン=20億円を325人で割れば一人ざっと年間600万円になるのです。これを10年やれば罪の償いにはなるのではないでしょうか?

基金は廃業ではなく、ほぼ永続性があります。運用原資の配当を補償に充てることで一回限りの支払いではなく、長期に渡り支払いを行うのです。その上、藤島ジュリー景子氏がおじさんの不名誉を勇気ある行動と判断で逆転に結びつけることも将来的に可能なのです。

では東山氏がひと月以内に立ち上げる新会社についてです。私がウーンと思ってしまったのは新社名をファンクラブから募るとしていることと株主が不明瞭なことです。東山氏は新会社は新たなタレントエージェントという位置づけなのですが、この出だしの発想からして経営にタガをはめてしまったのです。

ファンクラブ会費は年4000円、会員1100万人でここからの売り上げは500億円とされます。いわゆる会員制のビジネスとしてはスーパーのコストコが著名で会員になれば店へのアクセスと比較的良質なものがバルク買いすることで安く購入できるという仕組みがあります。では新ジャニーズが会員制ビジネスを基盤とすべきなのか、といえば私が社長ならそれは最悪の選択になります。なぜなら海外などビジネスの展開がやりにくくなるのです。韓国系のアイドル、いわゆるK-POPに負けているのは日本のアイドル系があまりにも閉鎖的環境で「私だけの」「俺だけの」的な雰囲気を作り過ぎているように思えるのです。そこには悪い表現をすれば「根暗」すら感じるのです。

東山氏が経営の素人だと思うのはたかが500億円程度の規模故に改革出来ない、その程度だということです。「仲良しこよしクラブ」ならば作れるでしょう。ですが、そのうち、海外進出を図りたいグループやアイドルも続出する中で少子化が進む日本のファンクラブビジネスではもったいないの一言です。

最後にテレビとCMなどの起用自粛ですが、今年の紅白まではまだ喪が明けないと思いますが、来年あたりから新会社が落ち着けば少しずつ解禁になると思います。起用自粛をした会社やメディアは被害者救済が行われていることが確実に実行されることを採用再開の前提としています。

その代表的コメントがNHKの「すでに契約が決まっているタレントはそのまま出演しますが、新規の起用に関しては、被害者への補償や再発防止への取り組みが着実におこなわれている、と確認されるまでは行わないというスタンスです」であります。東山氏の新会社がそのような方針を明白に打ち出し、SMILE-UP.が納得できる補償方針を発表すればよいだけで、メディアはいつでも採用再開できるようハードルを非常に低くしているのが手に取るようにわかります。

マスコミ界と芸能界の悪い癖なのですが、時がたてば「あれは一応、解決したからもういいんだよ」とあっさり風化させることでしょう。今は連日、この報道ばかりでうんざりしていますが、そのうち、「そんなこともあったかねぇ」になるような気がします。日本のご都合主義的な点でしょうか?私は芸能界は大進化と大転換の過程にあると思っているのでアイドルグループに熱を上げる時代ではないと感じています。純粋にビジネス的観点からの意見です。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月3日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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