詳細項目 内容 0 1 2 3 4 5 6 有期契約の連続契約数の上限 回数 制限なし ≧5 ≧4 ≧3 ≧2 ≧1.5 <1.5 詳細項目 内容 0 1 2 3 4 5 6 有期契約の連続契約期間の上限 期間 単位:[ヶ月] 制限なし ≧36 ≧30 ≧24 ≧18 ≧12 <12
OECDの調査によれば、日本は上記の項目について、以下のように評価されているようです。
有期契約締結の範囲: 客観的な理由を特定せずに、3年以下の有期契約が広く可能。 高度なスキルを持つ従業員または60歳以上の従業員の場合、契約は5年間となる場合がある。
有期契約の連続契約数の上限: 更新回数に関して法的な制限は指定されていない。 更新を繰り返した後は、従業員は契約の更新を期待する権利が生じ、雇用主は更新を拒否する正当な理由がなければならない。
有期契約の連続契約期間の上限: 累積期間に制限はない。 ただし、5年以上の有期契約を締結している労働者については、無期契約への転換が認められている。
続いて派遣契約についての雇用保護の設定です。
詳細項目 内容 スコア 派遣労働が合法な仕事の種類 0: 制限なし又は最小限の制約で許可されている 0~6の範囲となるように、6/4倍される 1: 特定の例外を除き原則的に許可されている 2: 客観的な理由がある場合にのみ許可されている 3: 特定の産業でのみ許可されている 4: 派遣会社での雇用は違法である 詳細項目 内容 0 1 2 3 4 5 6 派遣契約の更新回数制限 派遣契約の更新回数に制限があるか – – No – Yes – – 詳細項目 内容 0 1 2 3 4 5 6 派遣契約の累計期間の上限 期間 単位:[ヶ月] 制限なし ≧36 ≧24 ≧18 ≧12 >6 ≦6 詳細項目 内容 スコア 認可・報告義務 0: 認可・報告義務は要求されない 0~6の範囲となるように、2倍される 1: 特定の認可が要求される 2: 定期的な報告義務が要求される 3: 認可と報告義務の両方が要求される 詳細項目 内容 スコア 一般労働者との均等待遇 0: 均等待遇への要求はない 0~3の範囲となるように、2倍される 1: 給与又は労働条件で均等待遇が要求される 2: 給与と労働条件で均等待遇が要求されるOECDの調査によれば、日本は上記の項目について、以下のように評価されているようです。
派遣労働が合法な仕事の種類: 派遣会社(Dispatching agency)は、港湾運送業務、建設工事、警備業務、病院の医療関連業務などを除くすべての職種に認められている。
派遣契約の更新回数制限: 制限はない
派遣契約の累計期間の上限: 同一企業への派遣期間は原則として最長3年となる。 受入企業が 3 年の制限を超えて別の割り当てを希望する場合は、従業員の過半数の代表者または労働組合と相談する必要がある。 同じ労働者が同じ受入企業の同じ組織単位 (部門や部門など) に割り当てられる最長期間は 3 年。
認可・報告義務: 派遣会社の設置には厚生労働省の許可または届出が必要。 派遣会社 は設立後、年に 1 回、その運営状況等を報告することが義務付けられている。
一般労働者との均等待遇: 派遣労働者の労働条件の確保は、労働保護に関する法律の一部を派遣労働者の雇用主に適用し、派遣労働者の責任を分担することにより確保されている。 改正労働者派遣法(2012年)では、派遣事業主は、賃金、教育訓練を受ける権利、福利厚生等を設定する際には、派遣先から直接雇用され、同種の業務に従事する労働者の状況を考慮しなければならないと規定されており、 顧客は、派遣事業者からの求めに応じて、必要な情報を提供するよう努めなければならない。
OECDによる、各国の臨時労働者についての雇用保護指標を比較してみましょう。

図1 雇用保護指標 臨時労働者 2019年OECD統計データより
図1がOECD各国における臨時労働者の雇用保護指標です。
基本的には一般労働者の雇用保護指標に近い状況のようです。
日本は有期契約が0.25で低めの水準、派遣契約も1.13でやや低い水準です。
総合値では1.38で、OECD平均(2.09)よりもかなり低く、イタリア(3.83)、フランス(3.13)、韓国(2.54)、ドイツ(1.92)などよりも低いようです。
一方で、日本よりも低いイギリス(0.54)、アメリカ(0.33)、カナダ(0.28)の3国は極端に低くワースト3を独占しています。
日本は臨時労働者についても雇用保護の緩い国と言えそうですね。
5. 臨時労働者の雇用保護の特徴今回は臨時労働者の雇用保護についてご紹介しました。
日本は2000年代に製造業への派遣労働も解禁され、臨時労働者を増やしていく方向性が強まってきた印象ですね。
雇用保護の観点からはこれらの臨時労働者への制約を強める考えの国々も多いようです。
日本は、非正規雇用が増えています。パートタイム雇用率も、近年では男性も女性もかなり高い水準に達していますね。
雇用環境については、イタリア、フランス、ドイツとアメリカ、カナダ、イギリスで対照的です。
日本はかなり雇用保護が弱い環境であり、アメリカやイギリスにかなり近い状況のようです。
日本は雇用保護が厳しく、雇用の流動性が低いなどともいわれます。確かにアメリカと比べれば雇用保護は厳しいのかもしれません。
一方で、他の先進国の多くの国々と比べれば、むしろかなり弱いという事になります。
労働者の生活の安定や、企業の雇用に関するリスクを減らす上でも、雇用保護は重要な観点と思います。
日本の雇用保護がどうあるべきなのか、意見の分かれるところかもしれませんね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年9月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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