かつての自民党総務会のメンバーはほとんど全員が閣僚や党三役の経験者という重厚な布陣で、小泉純一郎、加藤紘一、古賀誠、粕谷茂などという経験と威厳と見識を備えた方々が侃々諤々の議論を交わし、白熱した議論が数時間に及ぶこともしばしばでした。
総務会を乗り切ることを当時の執行部は「K点越え」と称していましたが、このようにお名前を挙げてみると本当に「K」が並んでいたのですね。総務会長の許可があれば総務以外の議員も出席して発言することが認められており、私も二回生の頃、何度か出席して震えながら自説を述べたものでしたが、あのシステムが自民党の活力の源泉の一つであったように思います。
今はブロックごとに一人ずつ割り当てられている総務ポストを各都道府県がローテーションで持ち回り、当選回数や派閥による調整も行われているようです。「モノを言わないのがお利口さん」「雉も鳴かずば撃たれまい」というわけでもないのでしょうが、かつての熱気と活力は失われてしまったように思います。折角、組織内に良いシステムがあっても、機能しなければやがて組織そのものが衰退してしまいます。私もその責任を自覚し、研鑽に努めなくてはなりません。
かわぐちかいじ氏の「沈黙の艦隊」が映画化され、本日より全国東宝系劇場で公開されています。本作の実写化は困難とされてきましたが(アニメ化は1996年)、自衛隊の全面協力や主演の大沢たかお氏はじめ俳優さん方の好演もあって、なかなか素晴らしい仕上がりとなっているようです。
「国家とは、独立国とは何か」「核抑止力とは何か」がメインテーマであるこの作品がどのように実写化されているのか、機会をみて是非観てみたいと思っております。ご関心とお時間がおありの方はどうかご覧くださいませ。
自民党ジビエ議連の会長として、27日水曜日、JR四ツ谷駅の「BECKS COFFEE SHOP」において、同店を首都圏において展開するJR東日本グループの「JR東日本クロスステーション」の幹部の皆様方との国産ジビエ鹿肉カレーの試食会・意見交換会に参加して参りました。
日本ジビエ振興協会の代表であり、信州蓼科においてオーベルジュ「エスポワール」を経営する藤木徳彦シェフの監修になる国産鹿肉ジビエキーマカレー(税込980円・首都圏55店舗で1万5000食限定販売)は、クセになりそうな感動的な味でした。鉄道事業に地域の発展は不可欠であり、列車の運行に支障となる鳥獣の除去と相俟って鉄道との親和性を強調されたJR東日本の姿勢にも感銘を受けました。
また28日は、自民党水産総合調査会長として、中国の日本からの水産物輸入停止で打撃を受けている紋別・湧別・北見地区の視察に行って参りました。
麻生内閣で農水相を務めていた時、いわゆる事故米事案(輸入米に日本では使用が禁じられている農薬が入っており、九州を中心とした焼酎や米菓製造業が打撃を受けた事案)に対応したときは、農水省の検査が杜撰であったことが背景にあり、大臣としてできるだけ早く現場に出向いて状況を把握するなど、可能な限り迅速・的確な対応を心掛けたのを思い出しました。及ばずながらではありますが、何の責任もない被害者に寄り添う、という言葉を本当に実感して頂けるために、今回も可能な限りの努力を致して参ります。
今週は岡部芳彦・神戸学院大学教授のゼミで講演する機会もありました。ウクライナを35回以上訪問された同教授の著書「本当のウクライナ」(ワニブックスPLUS新書・2022年)も大変示唆に富む良著と思います。
ロシア・ウクライナ戦争に関しては多くの書籍が刊行されていますが、最近読んだものの中では「ウクライナ戦争の噓」(佐藤優氏と手嶋龍一氏の対談・中公新書ラクレ・2023年)、「ウクライナ戦争即時停戦論」(和田春樹・東大名誉教授著・平凡社新書・2023年)、「ウクライナのサイバー戦争」(松原実穂子著・新潮新書・2023年)、「ウクライナの教訓」(潮匡人著・育鵬社・2022年)からいくつもの教示を受けました。
それぞれ、よって立つ立場には大きな相違がありますが、異なった立場からのものを複数読むことが自らの議論を組み立てる上では重要です。それにしても、知らないことのあまりに多さに今更ながら驚愕致します。
今晩は中秋の名月、早いものでもう10月となります。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年9月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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