従来個人の投資家主体だった戸建賃貸市場は、住宅所有者が大量に差し押さえに追い込まれた2008年の金融危機以降、REITなどの大口機関投資家が進出した。公開会社では2012年に設立され8万戸を管理・運営するInvitation Homesや、同じく2012年にスタートしたAmerican Homes 4 Rent(57,000戸)、非公開ではプレティアム傘下のProgress Residential(95,000戸)、FirstKey Homes(50,000 戸)といった企業が急成長した。

パンデミック期間中に郊外の戸建賃貸の人気が高まると、低金利と2桁の高い家賃上昇率を背景に投資が加速。ハーバード大学住宅研究共同センターによると、パンデミック前3年間の戸建住宅の購入に投資家が占める割合は16%前後で安定していたが、2021年に急増し、2022年第1四半期のピーク時には28%に達した。2023年に活動は緩やかになったが、それでも2019年の水準を大きく上回っているという。

サンベルトでは機関投資家による戸建の現金購入が増加していた。ニューヨークタイムズによると、2022年に販売された全米の住宅の3分の1以上が現金購入で、このうちの機関投資家が占める割合は10%だったが、ノースカロライナ州シャーロットやアトランタ、アラバマ州バーミンガムといった都市圏では20%近くに上っていた。