横浜FC(第28節終了時点17位)
キーマン:FW山下諒也
現在は残留圏内ぎりぎり17位の横浜FC。J1残留を争うライバルの柏レイソルに敗れ(第27節1-2)、同じく昇格組であるアルビレックス新潟にも敗れたことで(第28節1-3)、直近は下位チームを相手に手痛い連敗となってしまった。
この夏の移籍市場では、昨年のJ2得点王であり今季もチームトップスコアラーとして最前線で存在感を発揮していたFW小川航基が欧州へ期限付きで移籍。その後釜と呼べる補強はできていない。下位に沈むチームが軒並み緊急補強で即戦力を獲得していることから見ても、やはり厳しい状況と言わざるを得ないだろう。
そんなチームにあって、残り6試合での活躍が期待されるのがFW山下諒也だ。ここまで28試合に出場している俊足アタッカーはゴール数こそ2つとやや寂しいが、攻撃時、特にカウンターでの存在感は抜群。最大の持ち味である超高速ドリブルでボールを運びながら相手を置き去りにする。特徴が最も際立ったのは第14節の川崎フロンターレ戦。1点リードで迎えた後半開始早々の場面。同点に追いつきたい川崎を出し抜き、圧倒的なスピードで敵陣を突き進んで追加点をマーク。フィールド中央付近から一気にゴールへ向かう迫力を見せた(2-1)。
ここから先、横浜FCの対戦カードは現状の順位で言えばボトムハーフのチームが多い。警戒されても止めることの困難な山下のスピードがあれば、わずかなチャンスを活かして勝ち点を拾っていくことは十分に可能だろう。だからこそ間違いなく残留に向けて欠かせないキーマンと言えよう。
湘南ベルマーレ(第28節終了時点18位)
キーマン:DFキム・ミンテ
現在最下位と苦しむ湘南ベルマーレ。夏にはチームの稼ぎ頭であり日本代表のFW町野修斗がドイツのホルシュタイン・キールへ移籍。残留争いのライバルである横浜FC同様、貴重な戦力を失っていた。しかし、大きな違いがひとつある。湘南は補強による戦力ダウンを最小限に留めている点だ。
町野に代わり湘南の最前線に加わったのは、町野がギラヴァンツ北九州時代に2トップを形成した戦友でもあるFWディサロ燦シルヴァーノ。さらにJ3で得点王争いに加わっていたMF福田翔生も獲得した。いずれも下のカテゴリーからの加入だが、得点力の高さはこれまでの実績からも見て取れる。今季開幕戦ハットトリック男のFW大橋祐紀も健在なことから、攻撃力の不安は少ない。
一方、課題となっていた守備力についても今夏頼れる男を獲得している。鹿島アントラーズから期限付き移籍で加わった新戦力DFキム・ミンテは、加入後6試合に先発出場。鹿島で今季出番を得ていなかったのが嘘のように、DFラインの中央で高い存在感を放っている。残念ながらリーグワーストの失点数となっている湘南だが、Jリーグで豊富な経験を誇るキムの加入により改善が見込める。湘南らしい積極的な守備陣の形成と成熟にも一役買ってほしいものだ。
残り6戦、湘南は首位の神戸や名古屋といった上位勢との対戦や、互いにこのままの順位でシーズンが進めば死闘が予想される横浜FCとの裏天王山も控えている。現時点では最もJ2降格の可能性が高い湘南だが、戦力不足は感じられない。最終盤は苦しい試合も多くなるだろうが、J1残留が叶う17位横浜との勝ち点差は小さい。1戦ごとの結果がより重要になるだけに、新戦力を含めた戦い方にも注目が集まる。