政権発足後、メローニ首相の口からはムッソリーニといった名前が飛び出すことはないばかりか、自身が結党した政党メンバーに対して、過激な発言を慎むように要請、現在は「国民的保守運動を推進していきたい」と述べ出している。「メローニ女史にとって極右政治という衣服はもはや着心地が悪いのだ。世界の政治舞台で華やかに動き回りたくなったのではないか」と冷静に受け取る声も聞かれる。
選挙公約を破棄すれば、有権者には激怒され、メディアからも言語不一致として叩かれるものだが、メローニ首相に対する国民の評価はむしろ改善し、「イタリア初の女性首相のメローニ氏は長期政権を目指している」など好意的な論調が聞かれ出している。
イタリアでは、終戦後に誕生した共和国を第1共和国とすれば、1994年シルビオ・ベルルスコーニ氏が率いる中道右派「フォルツァ・イタリア(FI)」政権を第2共和国、そして第3共和国はメローニ首相の「同胞」主導のもとに始まる、といった予測すら聞こえるほどだ。
メローニ首相は公約を無視してというより、捉われない新しい政治スタイルを目指しているのだ。独週刊誌シュピーゲル9月16日号は、5ページに渡ってメローニ政権発足1年目を特集していたが、その特集の見出しは「メローニ・モデル」(Das Meloni-Modell)だ。シュピーゲル記者は、「メローニ首相は以前はハンガリーのオルバン首相を模範としてきたが、現在はオルバン主義から離れ、新しい欧州右派の独自のメローニ・モデルを目指している」と述べている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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