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悲運か必然か、少数生産で終わったKPGC110

悲運か必然か、少数生産で終わったKPGC110

まさかの「レースでは勝たなくていい」?最も謎めいたスカイラインGT-RことKPGC110【推し車】
(画像=1972年10月の東京モーターショーへ出展されたものの、ワークス活動凍結で存在意義を失っていたレース仕様だが、厳しい排ガス規制やオイルショックがなければ、あるいはL型のチューニングエンジンでも積んで活躍したのだろうか?,『MOBY』より 引用)

しかしKPGC110が発売された時、日産は既に1972年いっぱいでレースへのワークス参戦を凍結しており、レースに勝つための存在だったスカイラインGT-Rは、最初からその意義を失っていました。

初代KPGC10型は既にマツダロータリー軍団の大本命、サバンナRX-3にレースで太刀打ちできなくなっており、S20エンジンの大排気量化や、フェアレディZ(初代S30)で結果と出していた、ハナから大排気量のL24を積んだテストでも伸び悩みます。

ましてや大柄で空気抵抗が不利、ワイドトレッド化でコーナリングを詰めても40mm伸びたホイールベースや重量増加といったハンデを抱えたC110系スカイラインで勝負にならないのは明らかです。

あるいは、クロスフロー化したLYヘッド、DOHC化したLZヘッドを積むL型の大排気量エンジン搭載車でレースを戦う選択肢があったかもしれませんが、排ガス規制対策に全社を上げて取り組まねばならない時に、レース用エンジンに熱を上げている場合ではありません。

それでも致命的なイメージ悪化を防ぐためか、KPGC110発売直前の1972年10月には東京モーターショーでレース仕様を出展したものの、ワークス態勢でのレース参戦が凍結されていたのでは、ただの「ハリボテ」も同然でした。

GT-R自体も一説には197台(諸説あり)と言われる少数生産・販売で終わり、「S20エンジンの在庫処分だけが目的だったのでは?」と邪推される始末です。

その実力を垣間見ることもなく消えていった、幻のような存在となったKPGC110型スカイラインGT-Rですが、それでも「R」の一族には違いないという見方や、歴代最高の希少率から、今でも話題になりやすい1台となっています。

その運命は果たして、排ガス規制という困難ゆえの悲運だったのか、それともレースで勝ち目がないがゆえの必然だったのか、今でもその詳細な真相は明らかになっていません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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