この広い宇宙に我々よりも進んだ文明があるとすれば、彼らはどのような方法で恒星のエネルギーと惑星の資源を利用しているのだろうか。そして彼らのエネルギー利用法を知ることができれば、彼らがいる場所を特定できそうだが――。
ダイソン球を探す必要はない!?
我々人類の過去100年に渡る世界人口とエネルギー使用量の増加率は凄まじいものがある。その間に地球上の“ブルーオーシャン”は根絶やしにされ、資源の枯渇が危ぶまれる事態を迎えている。
今後の人類の存続と繁栄のためにはフリーエネルギー社会の実現は急務の課題であり、場合によっては新天地を目指して宇宙に進出することも当然視野に入ってくる。
もしも我々よりも進んだ文明があるとすれば、この問題にどう対処しているのだろうか。
物理学者のフリーマン・ダイソンによって1960年代に初めてコンセプトが提起された「ダイソン球(Dyson sphere)」は、恒星をすっぽり覆ってしまう仮説上の巨大な人工構造物で、恒星の発生するエネルギーすべての利用を可能にしている。

文明の発展度を示す基準「カルダシェフスケール」におけるタイプ2の文明は、恒星のエネルギーをすべて活用できる技術水準に達した文明であり、この「ダイソン球」などを作り上げて活用していると考えられている。
はくちょう座の中にある恒星「KIC 8462852」は、不規則に光が弱まることが知られており、一部の科学者はこの光量の変化は恒星の周囲を囲んでいるダイソン球によって引き起こされているとの仮説を立てている。
しかしインドのキリスト大学とインド天体物理学研究所の合同研究チームが今年9月に「arXiv」で発表した研究では、進んだ文明を持つ地球外知的生命体はレーザーを使用して惑星を恒星の周りのハビタブルゾーン内の軌道に移動させその資源を利用している可能性が指摘されている。そのほうがダイソン球を建設するよりも容易に文明の繁栄を維持できるということだ。
そもそも地球外文明はどこで栄えているのか。地球外文明の探索においてまず第一に念頭に置かれるのが、技術文明の痕跡である“テクノシグネチャー(technosignature)”の検知である。
科学者たちは、これらのテクノシグネチャーはさまざまな構造物や機械によって発せられる可能性があると考えており、自然現象の中で比較的容易に検知できるはずであるとされている。前出の「KIC 8462852」の光量の変化も一部からはテクノシグネチャーと見なされているのだ。
しかし今回の研究では、そういったテクノシグネチャーが検出できない場合でも、人為的に連れてこられたと考えられる奇妙な軌道を周回する系外惑星の存在が地球外文明の痕跡になり得ることが指摘されているのである。
