軽バンの弱点
良いことばかりではなく、選べる車種が少なくなってしまったこと以外の軽バンの弱点のようなものもいくつか挙げておこう。
エンジンの搭載位置による問題
ハイゼットカーゴ/アトレーとエブリイ/エブリイワゴンのどちらもエンジンがシート下に搭載されていると書いた。
これは大変合理的でもあるのだが、不利益もいくつかある。
当然、ボンネットの中に収まっているより整備性は悪くなる。
そして、エンジンの熱がキャビン内に伝わってしまいやすい。
私はシート下にエンジンが搭載されているクルマをいくつか経験しているが、現在も使用しているキャラバンはグレードが高いせいなのか(自慢しようというのではない)、またエンジンの回転数が低いせいもあるかもしれないのだが、あまりこの熱問題に悩まされたことがない。
しかし、それ以外のボンゴOEM時代のバネットや、軽トラのミニキャブなどは、長距離走行や高速走行を続けると下から熱が伝わってきて、夏はとにかく暑かった印象が強い。
バネットは、グレードが低くてとにかく簡素だったことが最も大きな原因だったと思う。
しかし、ミニキャブはハイグレードなタイプだったようなので(貰い物だったので詳しいことはわからない)、軽自動車ならではのエンジン回転数の高さが大きく影響していたのではないかと思う。
ハイゼットカーゴ/アトレーとエブリイ/エブリイワゴンは20年以上前のミニキャブより改善されているとは思うのだが、どちらにも長時間乗ったことがないので実情はわからない。
現行車両だったらずっと改善されているは思うが、10年以上前の古い中古車から軽バンを選ぶなら、私だったらスバル製のサンバーかホンダのアクティ/バモス・バモスホビオのどれか(先程述べた通りどれもエンジンは運転席から遠いところにあり、私は実際にサンバーのトラックとバモスで暑くないことを経験している)を選ぶと思う。
因みにN-VANはFFなので、上に挙げたどちらも関係のない話だ。
ペダルのオフセット
ハイゼットカーゴ/アトレーとエブリイ/エブリイワゴンは前輪が前席より前にあるのだが、前輪のタイヤハウスのせいで、はっきり言ってこのレイアウトは足元が狭い。
そして、ペダルが車体中央寄りにオフセット気味になってしまう。
ミニキャブトラックもそうだったが、バモスもこれと同じで、長時間運転していると、右足をもっと外側に置きたくなることがある。
骨格が細いような人なら特にこんなことも感じないかもしれないし、耐えられないほどのことではないが、バモスに乗った後にキャブオーバーのハイゼットジャンボやキャラバンに乗ると、足元が広々としていてなんとも言えない解放感さえ感じてしまうことがある。
ミニキャブトラックもバモスもATだったからまだ良いが、MTでゴツい靴など履いていたら、結構操作し辛いのではないだろうかとも想像してしまう。
特にMTを選ぶならしっかり試乗した方が良さそうだ。
着座位置と衝突安全性
私はもうずっと昔から慣れてしまっているので全くわからないことだが、運転席より前が極端に短い着座位置での運転に違和感を感じる人もいるようだ。
しかし、これはこのレイアウトが運転しにくいということではなく、全く慣れの問題でしかない。
むしろ私などはフロントガラスのスラントが強くてダッシュボードが妙に長い今時のクルマの方が余程運転しにくいように感じる。
前席より前にエンジンの収まったボンネットがないことで、衝突した場合の安全性を心配する人がいる。
クラッシャブルゾーンが大きい方が、確かに安全性が高そうではある。
しかし、軽自動車の小さなボンネットのあるなしで、どの程度の違いがあるのかも不明ではある。
事故は自分の注意だけで防ぐことはできないが、そういった心配をするより、とにかく安全運転を心掛けることの方が大切だと私は思う。
世界一合理的な車中泊用車かもしれない
改めて軽バンの魅力をピックアップしていくと、世界一合理的な車中泊用車のような気もしてくる。
アメリカから来た若いサーファー達が軽バンに興味津々になっていることも多い。
今後の軽バンの見通しがあまり明るくなさそうなようなことも書いてしまったが、今後もこの楽しく合理的なクルマがずっと生き残っていくことを願いたい。
ライター:笠原 サタン
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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