軽バンの良いところ
少し暗くなりかけたので、次に軽バン全般に共通する利点について。
すぐに寝られる
軽トラを車中泊に利用するなら、荷台にシェルを載せてしまうか、幌を設置してしまうか、確実に降雨降雪の心配のない時以外は、毎晩寝る前に荷台にタープなどをかけたり、テントを張ったりすることになる。
また、軽ハイトワゴンや軽SUVの場合は倒した座席(前席)の段差を解消するなど、やはり毎度必ず寝る場所を作る手間が必要(1人なら助手席を潰したままにしておくこともできるが)だ。
この作業が面倒というだけでなく、車内にいながらこういったベッドメイキングのような作業の全てを済ませるのは結構難しい(できる人もいるかもしれないが)と思うのだが、車外に出てベッドメイキングをしなければならないとなると、嵐の日などはかなり厄介だ。
車中泊をする目的がキャンプのようなことを楽しむことであるなら、テントを張るよりは手間も少なくて済み、そういった準備もまた楽しいのかもしれない。
しかし、道中の休憩が主な目的のような車中泊の場合は、「何もしなくても寝床が確保されていること」は、荒天の日や疲れ切っている時には大変ありがたく重要なことで、車体が小さいながらもそれを最も簡単に実現できるのが軽バンだ。
積める荷物の量が多い 軽ハイトワゴンや軽SUVは、助手席や運転席も活用しなければ寝られるスペースを確保できないが、その分も含めると荷物を置くスペースが軽バンより断然少なくなってしまう。
大きな荷物を運ばなければならない旅では、軽ハイトワゴンや軽SUVでは力不足となってしまうこともありそうだ。
軽自動車はどれも長さと横幅がほぼ同じでありながら、軽バンは1クラス上のバンと大差ない量の荷物を積むことができる。
本当に合理的なクルマだ。
キャビンと一体化された室内
構造変更をした軽トラでなければ、シェルを積んだ軽トラのキャビンと居室(シェルの中)は隔離されている。
私の使用しているハイゼットジャンボは、オプションの開け閉めできる背面窓が付いているため、窓を開ければ居室からキャビン内へ手を伸ばす程度のことはでき、空気の行き来もできるが、窓の大きさはパチンコの両替所や宝くじ売り場をほうふつとさせる程度の大きさだ。
これでもないより何かとずっと便利ではあるのだが、居室とキャビンが一体化されているというほどではない。
また、パネルバンにも壁をぶち抜き、キャビンと荷室が一体化された車中泊仕様車も販売されているが、本来はパネルバンのキャビンと荷室は完全に隔離されている。
今回パネルバンを除外した主な理由も、ノーマルなパネルバンと改造された車両とでは車中泊車としての使い勝手が全く異なり、話がややこしくなるからだ。
また、軽トラの荷台の方が、軽ワンボックスの荷室より容積的には圧倒的に広いシェルを積むことができるが、荷室を居室として使用中に、運転席助手席を荷物置き場にする際には、荷室とキャビンが一体化されている方が便利で、その点では軽バンに分がある。
そして、多少エアコンの効きが落ちたとしても、走行中に室内全体の空気を循環させることができるのも、室内が一体化された軽バンの利点だ。
人を乗せられる
軽トラは2名しか乗車できないが、普通の軽バンは4名乗車することができる。
車中泊に使うだけでなく、普段自分以外に2名以上の人を乗せる必要性があるのなら、軽トラという選択肢は消えることになる。
良くも悪くも目立たない
軽トラにオーバーハングのあるキャンピングシェルや自作のシェルを積んでいると、良くも悪くも人目を引きやすい。
私の使用しているBoo3という軽トラ用シェルは、外観が比較的あっさりしているので、自分ではあまり目立たないと思っていた。
しかし、ルーフキャリアを付けているせいなのかもしれないが、知人からは「遠目にもすぐわかる」と言われ、初めて見た人からは「何か面白そうなクルマと思った」といったような感想を聞くことが多い。
Boo3でもこうなのだから、目立ちたくない人や目立っては困る人には自作のシェルや背の高いキャンパーシェルなどが合わないことは明白だ。
それとは逆に、軽バンの場合は中をバッチリ車中泊仕様に改装していたとしても、外装がノーマルかノーマルに近い状態であれば、よくも悪くも全く目立つことがない。
耐候性と強度の面で安心
車中泊に使うのであれば、断熱材なしの薄い板一枚だけの屋根では暑い時期は厳しい。
シェルを自作する場合や断熱材の入っていないシェルを車中泊に使う場合は、天井の断熱の工夫は必須だ。
低いグレードの軽バンの天井も、鉄板一枚で断熱処理などされていないことが多い。
しかし、内装がシンプルな方が自分で断熱材を入れるなどの工事はむしろやりやすく、逆にそれが魅力ともなる。
また、実は立派なキャブコンなどでも雨漏りに悩んでいる人は多いほどだから、自作のシェルの場合もメンテナンスや修理に手間がかかる覚悟が必要だと思う。
一方、最初から一体成形されたボディーの軽バンなら、当然こういった心配は無用だ。