技術的にはどうでしょうか?基本は電池の開発がEV化の波を後押ししています。トヨタの27年全個体電池の実用化に関しては、日産などがすぐに続く見込みで日本が新型電池に賭ける期待は大きいのですが、電池のディファクトスタンダードがリチウムからとってかわるとも断言出来ません。
既存電池の改良版からナトリウムイオン電池やら多価イオン電池など他にもいろいろ開発が進みます。充電方式もバッテリーも着脱方式やインダクティブ方式などが議論される中で何が来るのかさっぱりわからない、これが正直なところです。水素自動車も今はひっそりしていますが、そのうち再び脚光を浴びるでしょう。
最近、私が関連するある団体でEVチャージャーを駐車場に導入する議論をしていたので私は強く意見しました。「バンクーバーでは数年のうちにEVチャージャーが供給過剰に陥る。よってチャージャーを持たないことが不動産や事業の価値の劣化にはつながらない」と。全個体電池が出来れば航続距離は1000キロを超え、充電時間は数分から10分前後となればチャージャーの総使用時間は極端に減るのです。
今、バンクーバーのダウンタウンにはガソリンスタンドはたった1か所、それでも混んでいるわけではないのです。つまり、我々は政治に振り回され、いらぬ投資をさせられた可能性があります。
それに中国と敵対関係にあるならEVを推進することで敵を利することになるわけで国内産業保護の点からみて政治家はそれでも現在のEVを推進したいのか、私には疑問なのです。フォードがミシガンに建設予定のEV工場は中国電池大手CATLからの技術供与が前提でした。今回、工場建設を中断するとしたのも結局は政治が背景です。
ここからの自動車のEV化は勝利の方程式が見えない泥沼の戦いになるとみています。EV開発競争は黎明期からテスラ独走、そしてその追撃期を経てどんな新展開をするのか、一筋縄ではないような気がします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月27日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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